改装工事・3日目

11月11日(水)・快晴/最高気温18度

6時半起床。今日も一日中外出もせずにリビングキッチンに座っていた。工事人がときどき顔を出して、わたしでなくては分からないことを訊いてくるので、やはり家人の誰かが居ないといけない。家のリフォームを経験している人がこの状態を「現場監督」と表現していたが言い得て妙であると実感した。

今日も水回りの基礎工事をしていたが、これまでの洗面台とトイレの位置が少しずつ左にずれるのでその工事がけっこう大変らしい。何でもそうだけれど、ゼロから作るのとは違った難しさがある。素人が考えても前者の方が簡単だろうとは思う。

今日は朝から快晴の日和で外の気温はそれほどでもなかったがガラス越しの日光はかなり暑いと感じた。

数日前からテラスの餌台に雀が来るようになった。これまではシジュウカラがほとんどだったのだが、違う種類の小鳥が訪れてくれるのは嬉しい。シジュウカラに較べるとまるまると太っていて、これが「寒雀」というものなのかな。

工事中はその騒音で音楽も聴けないから、ほとんどMacの画面を見ていることになるのだが、これがかなり眼の疲労を誘う。今日は意識して1時間Macを使ったらテラスに出て遠くを見るように努めていた。

トスカーナに滞在しているときに、ブリギッテの会社の若いドイツ人男性も来ていて彼と話すことがあった。彼は日本人女性と結婚していて男の子が2人いる。もともとが日本大好きな男なのだが、彼がこれまでに読んだ日本の本を訊ねたら何と谷﨑潤一郎の随筆集「陰翳礼讃」という名前が出てきた。もちろんドイツ語に翻訳された本である。

恥ずかしながら、日本人の彼より年上であるわたしはこの本は未読だった。幸いにも電子書籍で出ていたのでダウンロードして読んでみた。とても新鮮で谷﨑潤一郎という人間の奥深さが感じられる良い随筆である。「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」とはこのことだ。(汗) 

今日は素晴らしいお天気だったのでテラスへの戸を開け放しておいたのだが、午後に1羽の雀が部屋に迷い込んできた。出口がわからなくてバタバタしていたから、怖がらせないようにゆっくりゆっくりと戸まで追い込んで無事に外へ飛び立っていった。

工事人二人は今日も4時半頃に作業を終了。わたしは昨日と同じようにそのあと掃除機を掛け、雑巾掛けをして床のざらざら感を拭い去る。

今日になってようやく料理する気力が湧いてきたが、買い物にも行けないので冷蔵庫の中には大したものが入っていない。それでも先日茹でたタコの足が残っていたのでそれを解凍。ステーキ用のマグロの切り身も冷凍されていたのでそれも解凍する。あとは卵のだし巻きを作る。味噌汁の実はジャガイモと人参。

改装工事・3日目」への4件のフィードバック

  1. 私もフランスに来てから「陰翳礼賛」が日本に興味あるフランス人の間では日本的美学の精髄に触れたKult-Buchの扱いを受けており、各分野の日本研究者にも常識的教養になっているのを知りました。

    読んでないと言うと相手は我々がアイーダを知らないイタリア人に会った時みたいなガッカリした表情を見せるので私もこちらに来てから読みましたが、私はあの谷崎の重箱をなめ回すみたいなねっちりした文体は魅力も感じるものの何度も読み返したいとは思いませんし、内容的にも私が関西に対して抱くのと同じような、自分の奥深いところに触れられたような懐かしさとある種の距離感を同時に覚えて奇妙な気分になります。

    • わたしには古い日本の金ぴかの装飾や、家の作りをこれまで深く考えたことがなかったので、なるほど、と納得するところがずいぶんありました。谷﨑の西洋に関する洞察には、こちらに長年住んでいるわたしとしてちょっと違和感を感じました。日本の文化との対比をするためにあえて書いたようなところもあるのでしょう。

      ネッチリした文体というのはピッタリの表現ですね。(^_^) 私見ですが村上春樹の文体とは対極にあるような気がします。最近はそういう文体に接することが多いので、わたしには谷﨑の文体が新鮮でした。少なくとも、もう一度読み返してみたいです

  2. 「陰翳礼讃」、ですか。

    谷崎は好き嫌いがわりとはっきりすると思いますが・・・・・・

    他の作品を読んでから、行かれた方が、と(_ _)。

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