フィエゾレ (Fiesole) という地名

ここはわたしも初めて足を踏み入れた土地。しかしフィエゾレという地名だけはずいぶん昔から知っていた。

わたしが Nationaltheater の研究生 (Opernstudio) の一員だった頃に、何本かのオペラの端役で舞台経験をさせて貰ったのだが、その中に Hans Pfitzner 作曲のオペラ「パレストリーナ」(Palestrina) というのがあった。その時タイトルロールを歌ったのは Peter Schreier。

そこでわたしが演じたのがフィエゾレのビショップの役だった。(下の写真) 歌うのはたった一言 “Ich, von Fiesole”(わたし、フィエゾレからの者です)だけ。

Fiesole 1 2

しかし、周りは名だたる名歌手揃いだったからとても緊張した。

フィエゾレ⇒ミュンヘン

2018年3月31日(土)・曇り/最高気温15度⇒9度

7時半起床。

このホテルは古い館を改造して使っているせいか、現代のホテルと比較するといろいろと不備があることが二晩泊まるとわかってくる。わたしの素人目の観察だが、窓は全て取り替えたほうがいいだろう。浴室の水回り、調度品も泊まり客にストレスを感じさせる。

なによりも参ったのは部屋の中からWi-Fi でインターネットに繋がらないこと。わたしの部屋を出ると、天井に近い壁にルーターが設置されているのにインターネットを使えないというのはおかしい。メンテナンスの不備だと思う。

しかし、それらの不満を補って余りあるのは部屋からの眺望。ここから見下ろすフィレンツェの眺めは素晴らしい。

早朝はスッキリと澄み渡った街並みが、これから始まる1日に何か楽しいことが待っているような予感を感じさせる。昼間の景色は暖かい春の息吹を感じさせ、夕方から暗くなるまでの霞がかかったような色調はとても幻想的。そして夜にはライトアップされたサンタ マリア デル フィオーレとその他の名所がキラキラとした街の光の中に浮かび上がる。これは街中のデラックスな一流ホテルに泊まったとしても、決して得られないものだ。ホームページは次の URL。

Pensione Bencistà Fiesole (Firenze) – On-line booking

朝食のあと今回招待してくれた友人に厚くお礼を言ってホテルをあとにした。今日は土曜日で明日から復活祭が始まり日曜日、月曜日は全ての店が閉まる。今日中に食料を買っておかないと大変なことになる。そこでカーナビでフィレンツェ郊外の大型スーパー (COOP) を探して買い物をして帰ることにした。

その巨大なスーパーも、今日はもの凄い数のお客で圧倒された。買い物には俄然元気の出るブリギッテもさすがに必要にして充分な物だけを購入し早々に店をあとにする。

それからはひたすら約800km車を走らせるだけ。途中で1時間半ほど交代して彼女に運転して貰った他はわたしが最後まで運転。帰宅する前にレストラン Gartenstadt で夕食を済ませる。そこでミュンヘンのビールを飲んだらようやく今回の旅が終わった実感が湧いた。

今回の旅に出る前はわたしもブリギッテも体調を崩していたが、イタリアの柔らかい、暖かい空気がそれを癒やしてくれた。特に彼女は精神的にも解放された様子で、とても意義のある小旅行だった。