体調不良の日に読書三昧

2018年7月23日(月)・曇りときどき晴れ/最高気温23度

7時半起床。

朝から肌がザワザワした感覚があって喉もイガイガする。きっと風邪の軽いものがまだ抜けきらないのだろうと思う。さいわい今日はなにも予定が入っていないのでじっと家の中で過ごすことにした。

余り MacBook Pro 15 に向かっていると眼も疲れてくるので、今日は読みかけの本 師匠、御乱心! 三遊亭円丈 を読了するつもりで読み始めた。これはAmazonの Kindle Paper White という端末にも入れてあって、この端末で読むと眼が疲れないのだ。フォントを自由に大きく出来るので長時間読んでも眼に優しい。 MacBook Pro 15 の液晶とはずいぶん違う。

この本はわたしのかすかな記憶に残っていた落語協会の分離、独立に関するドキュメント風のもので、著者が三遊亭円生の弟子であった円丈という落語家であるのが興味深い。かなり独善的で一方的な書き方ではあるがあの時はそういうことが起こっていたのかというのが分かって面白かった。

最初にこの本が世に出たのがもう40年ほど前のことで、今回は文庫版として再出版されたそうだ。その当時の当事者達のほとんど(円生、小さん、円楽、志ん朝、談志、馬生、円鏡)は鬼籍に入っている今だからこその再出版なのだろう。今回の再販で最後に加えられた、現在も生きて活躍している人たちの意見や座談会を読むとまた違った面も見えてくる。

これを読み終わったあと、今度は友人からお借りしているビジュアルNIPPON 昭和の時代 | 伊藤 正直, 新田 太郎 という大判の本を開いてみた。最初の方には写真家・土門拳の写真が数ページにわたって掲載されている。わたしが数年前に酒田市にある土門拳ミュージアムまで足を運んで見た子供達の写真が懐かしい。土門拳の写真を見に酒田へ |  Mein dritter Blog

その他の内容も昭和22年生まれのわたしにとっては身近に感じられるものが多かった。まだわたしが小学生の頃に姉が読みなさいといって買ってくれた「少年朝日年鑑」という部厚い本のことをふっと思い出した。あの時のワクワクとした気分を思い出す。

これにざっと目を通したあと、これもまた同じ友人が貸してくれた 向田邦子 暮しの愉しみ | 向田 邦子, 向田 和子 という本を読み始める。これも途中までしか読んでいなかったのだ。

向田邦子という作家はわたしの姉も好きな人で何冊か日本から送って貰って読んだ記憶がある。この本のサイズはB5版と呼ばれるもので手に取って読むのに程よい大きさであるが、今のわたしには小さい活字の部分はかなり辛い。いきおい大きなルーペを使って読むことになる。

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それも初めの頃はぎごちなかったけれどすぐに慣れた。これも眼に優しく疲れない。やはり本は良いと思う。

その中に数カ所懐かしい記述があったのでピックアップしておいた。まずは26ページの「海苔弁」。

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これはわたしの小学生、中学生時代の弁当の定番だった。食べるときには冷たくなっていたが醤油のしみ込んだご飯と海苔とのバランスが最高で今でも無性に食べたくなる。

わたし的にはこのデラックス版というのがあって、最後に敷いた海苔の上からもう一度ご飯をかぶせて、その上に醤油をタップリしみ込ませたコロッケを乗せたものだった。当然弁当箱の蓋は中身の厚さで閉まらない。そこを力づくで上からギュウギュウに押さえ、新聞紙に包んでランドセルの本の間に入れるのだった。この弁当を持っていった日は昼食の時間が本当に待ち遠しかった。

次に目に止まったのは82ページの「貝焼き」の写真。

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これを挟む数ページには食いしん坊の向田邦子が取り寄せようとして集めて置いたリストが写真入りで載っている。

「貝焼き」とはわたしの出身地、いわきの名物である。ウニを蛤の貝の中にてんこ盛りにして蒸したもの。私の子供の頃はそれほど高いものではなかったようでわが家でもよく食べていた。

しかしこの「貝焼き」の味が本当に分かったのは、大人になってお酒を飲めるようになってからだった。食べ方はウニの表面に箸のとがった方を突き立てて数個穴を開ける。そこに醤油を垂らし入れてから網わたしの上に乗せて焼くのである。醤油がジュクジュクと熱くなった頃が食べ頃。これを肴に日本酒など飲んだらそれはそれは幸せな気分になれるのだ。

最後に目に止まったのは「向田邦子が選んだ食いしん坊に送る100冊」という項で、わたしが半世紀以上たった今もバイブルのように使っているおそうざいふう外国料理 | 暮しの手帖編集部 という本。

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これは誰にでもお勧めできる。この項でも No.2 の位置を与えられていてちょっと嬉しかった。

夜になって、そういえば姉が送ってくれた VHS のビデオテープがあったと思って探して見たら「向田邦子、没後20年」というテレビ番組を録画したものが見つかった。それをもう一度観たあと22時過ぎに就寝。

体調不良の日に読書三昧」への2件のフィードバック

  1. 自由な時間ができるて、終活をそろそろ考えるようになると、まず本棚の整理…ときますがこれが中々進みません。読んだ内容を忘れていたり、、なぜか途中で途絶えたりしてそれでもじっと見ているうちに再読したいと思うもの。大切に取ってある何十年も以前の本は手放しがたい思いがあるのですね。。最近は書店で昔からのなじみの好きな作家の新作が出てないので、寂しいです。せっせと古い蔵書再読も良い時間です。

    • わたしもこれまで何度か本棚の整理をしてきましたが、これは難しいです。特に単行本というのはそれほど好きではなかったものでも捨てがたいです。捨てることに罪悪感すらあります。本の装丁、姿形、というのは大事なんだなぁと今さらながらに感じます。好きな作家はだんだん死んでいってしまいます。当然、新しい作品は出てきませんから、せっせと新しい作家を開拓することになりますが、そうするとまた本が溜まってしまう。これは陰謀では?(笑)

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