「軍服を脱いだ鴎外」を読了

2019年1月14日(月)

とても面白い一冊だった。この本は日本に住む知人の好意で知ることが出来たのだが、手元に置いておきたくなり、たまたま日本に短期帰国する友人にお願いして購入してもらった。

この本は1886年3月8日から1887年四月中旬まで過ごした森鴎外の1年余りに渡るミュンヘン生活を考察したものである。

わたし自身はドイツに1977年に来てから途中の5年間を除き、37年余りミュンヘンに住んでいる。したがってミュンヘン市内の地理はタクシー運転手が出来るくらい熟知している。(笑)

だからこの本を読んでいて鴎外が歩いた道筋や訪れた地域などをそらで頭の中に浮かべることが出来る。これは日本の都市と違って130年以上もミュンヘン市の街並みが変化していないということであって、とてもありがたい。

森鴎外という名前にはこれまで「真面目」で「暗い」「ガリ勉」型の人物像しか結ばなかった。しかし彼の1年余りのミュンヘン生活を知るとそうではなかったのだと思える。ついついわたし自身の不真面目でいい加減なミュンヘン生活1年目と比較してしまう。

著者の美留町義雄氏は2012年から一年間、研究者としてミュンヘンに滞在されたという。著者の文章の底にはミュンヘンおよびバイエルンへの暖かい思いが感じられるのも嬉しかった。

春になったら気候の良い日を選んで、この本に書かれている森鴎外の足跡をなぞりながら、彼の眼に写ったであろう Starnbergersee 周辺を歩いて見ようと思っている。

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下の写真は付いていた帯。

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カバーを外してみると表紙の装丁がミュンヘン市内の地図になっていて、著者の思い入れが感じられる。

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終わりにわたしの希望だが、ミュンヘンに住む友人たちにも読んで欲しいと思うので、出来るだけ早く電子書籍化して貰えれば嬉しい。

「軍服を脱いだ鴎外」を読了」への3件のフィードバック

  1. 初めまして。『軍服を脱いだ鴎外』の著者の美留町(びるまち)と申します。出版社の方からこのブログのことを聞き、嬉しく拝見しました。ミュンヘン生活の大先輩から拙著を褒めていただき、有難く思っています。ミュンヘンは、2012年の滞在の後に、二度ほど訪ねて夏を過ごしました。鴎外だけではなく、私や家族にとっても、思い出深い特別な町です。今頃は雪も積もり寒いでしょうね。子どもたちとEnglischer Gartenでそり遊びに興じたことなど懐かしく思い出します。寒中、どうぞお身体にお気をつけてお過ごしください。まずは御礼まで。

    • ご丁寧にありがとうございます。著者ご自身のコメントいただいてとても嬉しいです。ブログにも書きましたが、最初の数ページを読んで心をグッと掴まれてしまいました。わたしはもう人生の半分以上をここで過ごしているのですが、歳を重ねる毎にミュンヘン、及びその周辺の醸し出す空気感が好きになっています。美留町様の作品の底にも同じ思いが流れているのを感じて、とても親しみを感じました。願わくばまたミュンヘンを訪れて「軍服を脱いだ鴎外」について語っていただければと思います。

  2. 小林様
    暑中お見舞い申し上げます。あれから毎日ブログを楽しく拝見させていただいております。
    実は、8月24~27日にミュンヘンに滞在する予定があります。もしご体調が良好で、かつご予定が合えば、小林様の貴重なミュンヘンのお話をうかがいたいのですが、いかがでしょうか。
    気張らずに、ビアガーデンでジョッキを傾けながら、楽しくご一緒させていただければと思っております。
    どうぞよろしくお願いいたします。

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