Billy Budd の舞台稽古が始まった
いよいよ今日から Billy Budd
の舞台稽古が始まった。まず、10時から30分ほど、演出家の
Peter Mussbach
によるコンセプト説明。これがなかなか理路整然として好感の持てるものだった。船長
Vere と 乗組員 Claggart
の間に挟まれた Billy Budd
の人物設定などをわかりやすく説明し、われわれ水夫がどのような環境の中で、どのように内面的な鬱屈を表現していくべきかなど、彼のやりたいと意図するところが良く伝わってきた。もともとは1797年の英仏戦争中の設置なのだが、例によって書き換えられた舞台設定は「航空母艦」の中ということになっています。
コンセプト説明のあと、
5分間の休憩をとって、隣の練習舞台に移動。おおかたの練習用舞台装置などはもう組上がっていて、早速練習が始まった。まず最初はこのオペラの最終場面から取りかかる。というのも、これはプロローグとエピローグのあるオペラなので、最終場面と最初の場面は鏡面で反対の人物の位置設定になっている。
稽古が始まってみると、やはり思ったとおり、歌詞が少ない割に、似たようなフレーズが多いから頭の中が混乱してしまう。休憩時間にもう一度楽譜を見直し、譜面を頭にたたき込んで後半の練習に臨み、数回その場面を繰り返すとようやく確かなものとして頭の中に展開していく。舞台稽古とは要するにそういうことの積み重ねで、これが1月15日の Premiereまで続くことになる。今日もあいだに4時間の休憩があって、一旦帰宅したが、夕方5時からまた3時間の舞台稽古があった。 音楽に直接の関係はないのだけれど、このオペラの登場人物は男だけ!。舞台装置のトーンも黒と灰色が支配しているし、プロンプターと演出助手の女性を除くと練習場も「男ばっかりの世界」。作曲者のブリテン自身も同性愛だった人で、初演では彼自身が指揮をし、船長 Vere 役を歌ったのは、ブリテンの恋人でもあった Peter Pears であった。このオペラの内容も 演出家 Mussbach の設定では、船長 Vere はホモセクシャリストであり、 Billy Budd に性的な好意を持っていたということになっている。これはなんだか息が詰まりそうな異常な世界です。 ちなみに、ベルディの「シモン・ボッカネグラ」を観た知人が「男が多すぎる!」と言ってましたが、その人がこのオペラを観たらなんと言うか聞いてみたいものです。(^_^;) わたし自身も、灰色の長い冬の期間にわざわざこんなオペラを持ってこなくても良いんじゃないの?とぼやきたくなります。すぐにレパートリーから消える作品にならないことを祈りたいものです。 このオペラのあらすじに関してインターネットを検索してみましたら、「すずめの部屋」さん の Billy Budd のページ を見つけました。快くリンクをお許しいただいたので紹介しておきます。大変詳細に、わかり役書かれています。(^_^) Posted: 2004年11月30日 (火) at 23:01
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