チャイコフスキー・プログラムを聴く 


昨夜(11月7日)は Gasteig の大ホールでロンドン・シンフォニーオーケストラ (London Symphony Orchstra) の演奏会を聴いてきた。これは WINDERSTEIN の定期演奏会。指揮はマイケルーティルソン・トーマス (Michael Tilson Thomas) バイオリンのソリストはワディム・レーピン (Vadim Repin)。この人に関してはこのリンク が参考になるかもしれない。 

日記の方でも書いているが、この日はフェーン現象と思われる天気でわたしは頭痛と軽い喘息と眠気に悩まされて、演奏会を聴くには最悪のコンディションだった。しかし、ブリギッテの勤める店主がせっかくくれた切符だから是非行かなくてはと思って頑張って聴いてきた。先ず、当夜のプログラムだが、これが全てチャイコフスキーの作品。D-Dur のヴァイオリンコンチェルト以外はあまり聴いたことがない。プログラムは以下の通り。

1.Das Gewitter
Ouvertuere zu Ostrowskis Drama in e-moll
op.posth 76
2.
Konzert fuer Violine und Orchester D-Dur op.35
Allegro moderato
Canzonetta: Andante
Finale: Allegro vivacissimo
----------- Pause --------
3.
Manfred-Synfonie in vier Bildern nach Byrons dramatischer Dichtung h-moll, op.58
Lento lugubre - Moderato con moto - Andante
Vivace con spirito
Andante con moto
Allegro con fuoco

会場には30分ほど前に付いたので、出来れば客席に座って待ちたかったのだが第一ベルが鳴るまで入場させてくれない。やっと演奏会が始まり、指揮者の Michael Tilson Thomas が登場したときには、写真で見知っていた顔とは違って、随分老けて見えたので少し驚く。

そしてその歩き方…。わたしはすぐに彼が同性愛者でないかと気がついた。ドイツの、それも劇場関係にはかなりの数でそういう人達がいてその仕草や歩き方には共通したものが感じられる。すぐに隣りに座っていたブリギッテにそのことを耳打ちすると「ウン、プログラムにもちゃんと書いてあるわよ」と言う。ちょっと驚いたが彼女の指摘した人物紹介 (Das Portrait) の箇所を見ると確かにそのとおりだった。
Der eine MTT wohnt in San Francisco mit seinem langjährigen Lebensgfährten (und Manager) Joschua in einem herrichen, sich hölzeln über mehrere Stockwerke schraubenden Stadthaus im Frank - Loyd - Wright -Stil.

これによるとマネージャでもあるパートナーとは長年の交友であるらしい。最近はこの種のことが昔ほどタブー視されてはいないものの、ここまでオープンなのには少し驚いた。でも、開けっぴろげにした方が気持ちが良いことは確かだと思う。

この人の指揮ぶりも、別にそういう色眼鏡を掛けてみたからというわけではないが、かなり女性的だ。おかしかったのはフォルテの部分。ロボットが両腕をピッタリ身体に付けて肘を曲げているポーズをよく見ますが、彼はあの姿勢のままオーケストラにフォルテを要求する時には右から左へ(またはその逆方向へ)身体をクルリと半回転させます。なんだか、小さな子供がイヤイヤしているような感じにも見える。(^_^;) 

もう一つおかしかったのはコンサートマスター。この男性はかなり背が高い人で椅子に座って両足を開くとズボンがかなりの高さまで引き上がる。きっと膝までの黒い靴下をはいているので彼の毛ずねを見せられることがなかったのは幸いだったが、この奏者、速いパッセージのところでは両足を交互に浮き上がらせてバタバタしだす。わたしの座った席は第1列目で彼の背中を見る位置なのだが、そこから見ていると指揮者に向かってヴァイオリンを弾きながら座っている椅子ごと、今にも歩き出しそうに見えてしまう。それがなんとも滑稽だった。(^_^)

最初に書いたように、この夜は眠気との戦いで、特にヴァイオリン・コンチェルトの柔らかな心地よいテーマが流れ出すとフワッと眠りに引き込まれそうになった。独奏者のレーピンという人はシベリアの生まれらしいが、どことなくアジア人の血が混じっているような容貌。この年代のプレーヤーに共通でテクニックにはなんの不安も感じさせない。音色はわたしの座っていた席からはかなり直接音が聞こえてしまうので、客席の真ん中辺で聴いたら、随分印象が違ってくるだろうと思う。

最後のマンフレッド交響曲は滅多に聴かない曲なので最初のほうは興味深くて眠気も一時は覚めたのだが、時間がたつにつれ、またまた瞼が下に降りてくる力との対抗だった。しかし、大団円で Gasteig のパイプオルガンが大咆吼をたてたときにはさすがにパッと目が覚めて、なんとか眠らずに今夜の演奏会場をあとにすることが出来た。(^_^;) 

Posted: 2005年11月08日 (火) at 15:06 




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