「ファルスタッフ」の2回目 


雨 / 外気温7度
7時20分起床。今日も朝から雨が降っていた。それもかなりの風を伴っているので歩くのには不適。劇場への往路を歩き始めたときには雨もパラパラとしか降っていなかったのだが、次第に強くなってきて劇場に着くまでの15分間にはかなり濡れてしまった。わたしは傘を持つことが好きでなく,たいていはトレンチコートと帽子だけで済ましてしまう。で、きょう濡れてしまったのは自己責任である。(^_^;) 

10時から13時までは Rigoletto のBOがあった。BOというのは BühnenOrchesterprobe を短く言い表したもので、衣装、メークなし、オーケストラの伴奏で舞台稽古をするもの。演出家はほとんど口出しをしないで指揮者の Zubin Mehta 氏が盛んに歌手に注文を付けていました。

彼にとって、歌手の声が客席まで通ってこなければならないというのは必須条件のようで、演出の如何に関わらず「客席に顔を向けて歌え!」と要求していました。今回の舞台は両サイドを囲む壁のようなものが無いので、歌手が横を向いて歌ってしまうと声が反射して戻ってこないのです。 Zubin Mehta 氏はオーケストラをよく鳴らす人なので、こういう舞台で歌う歌手は辛いです。

しかし、 Rigoletto はいいなぁ。コンパクトな作品だけどヴェルディのヴェルディらしい要素がきっちりと詰まっていて楽しいです。ちょっと気にかかるのはタイトルロールを歌うMark Delavan のこと。この人、今回がヨーロッパデビューらしいが、練習のときから張り切りすぎていて今日などはちょっと声が疲れ気味。 Zubin Mehta 氏はオーケストラ付きの舞台稽古で力を抜いて歌うことを嫌がるから今日も全力投球だった。このままあと数回のBOをこなしHauptprobe,Generalprobe と続く日程をうまく調整していけるといいのだが。マントヴァ公爵役の Ramon Vargas は声の調子がよくないということで今日は出てこなかった。この辺の駆け引きの上手下手もまたオペラ歌手の才能であるかもしれない。ジルダ役のソプラノDiana Damrau の声は耳に快く響き、わたしの好きな声質です。わたしは猿の動きをするためにほとんど前屈みの状態だったので、終わったときには背中が痛くなりました。

帰宅して家族全員での昼食。そのあと、たまらずに一時間ほど仮眠をとりました。眠りから覚めてまた全員揃ってコーヒーとケーキを食べてゆっくりしているともう劇場へ出掛ける時間。路面電車の中では隣家の18歳になる女の子と一緒になりいろいろとおしゃべりをして行きました。彼女もついこの間まで少女だったのに今日話してみるとすっかり大人です。車の免許証もとって運転が楽しいとか、彼女のお父さんが何度目かの禁煙に失敗したとか話してくれました。

夜の公演は2回目の「ファルスタッフ」。今夜はたまたまミュンヘンで開催されている「安全保障会議」に出席中の誰かがオペラを見に来ているのか、劇場の廻りはかなり厳重な警察の警戒ぶりでした。楽屋口にも警官が立ってチェックしていましたが、やはりテロを警戒してのことだと思います。オペラが終わって替えるころにはまたかなり激しい雨と風で、今週末は天候の点では望み薄です。月曜日からまた雪になるという予報も出ていました。春はまだまだ遠いです。 

Posted: 2005年02月12日 (土) at 18:31 




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