「ファルスタッフ」の3回目 


7時20分起床。昨日一にち休日だっただけなのだが、午前中の舞台稽古に出掛けるのが精神的にはなんだかしんどいなと思う。怠け心か、それとも相変わらず雪の舞う天候のためかはわからないけれど、とにかく春が早く来て欲しいものだと思ってしまった。 

今日も10時から始まって13時までのBOだった。 Zubin Mehta 氏は歌手に対して駄目出しをしたりしていたが総合的には和やかな空気のうちに練習が進んだ。わたしは始めて見たのだが、今日は、Monterone を歌う歌手 Mikhaili Petrenkoのこめかみのあたりになにやら貼られているのが見えたのでなんだろうと思っていたらマイクだった。彼は美しい声を持っている歌手なのだが、声が小さいということなのだろう。なんだかな〜、という感じがした。先日も書いたのだが Zubin Mehta 氏はオーケストラを鳴らすのが好きな人という印象をわたしは持っている。もう少しオーケストラの手綱を引いて歌手の声を引き立ててあげたらとわたしなどは思ってしまうのだが、そうもいかないのかしら。夕方、同僚に聞いてみたがNationaltheaterで歌手にマイクを付けるというの誰もこれまで見たことはなかったようで、もしかすると今回が初めての試みかもしれない。(未確認情報です)

今回の Rigoletto 配役は Ramon Vargas を除いてはまだそれほど世評には知られていない歌手で固められている。言い方を変えれば総体に小粒かなと思う。学生時代に見た Luciano Pavarotti/ Peter Glosopp/ Ruggero Raimondi
の舞台が印象に残っているので余計にそう思う。Ramon Vargas はキャリアのある人らしく、今日あたりからエンジンが掛かり始めている。今日は1幕全部と、二幕最初のアリアまで聴いていたが、声のポジションが揺るがずに素晴らしい歌唱。おそらく今が彼の脂ののりきっている時期なのだと思う。

休憩のときに臨時の集会(Personalversammlung)が観客席を使って行われた。今月に入ってから2人、劇場内で働く人に不幸があったのと、指揮者のMarcello Viotti 氏に関してだった。Viotti 氏は先日3回目の卒中発作(Schlaganfall)があって危篤状態にあると新聞などでは報道されていたが、どうやら助かる可能性は限りなく少ないようだ。彼はまだ50歳という若さで、指揮者としてはこれから大いに活躍するものと期待されていた人。ミュンヘンでもアンナ・ボレーナ (Anna Bolena) とか清教徒 (I Puritani)などグルベローバの主演するオペラを振っていたのが記憶に新しい。妻が心筋梗塞を起こしたときに、病院に担がれてすぐ2度目の軽い発作があって、その時に医者が「こんど3回目の発作が起こったら非常に危険な状態です」と言ったことを思いだした。

今日はカローラの交換学生がイギリスから到着するのでカローラは空港まで迎えに出た。ソースで有名なウースター近郊からの女生徒で一週間わが家に滞在する。交換学生(Schüleraustausch)というのは、学校で企画するもので希望者が申し出てそれに参加する。ブリギッテは自分自身の経験からかこういった外国を知ることの出来る企画には積極的に娘たちを送り込んでいる。準備とか毎日の面倒を見るとかそれなりに大変なのだが、アンナのときもアメリカとモスクワの交換学生が来ていた。ユリアは妙なことにこの企画にあまり積極的ではない。どうも、外国の見知らぬ家族の中で暮らすということに不安があるらしい。(^_^;) カローラはスペインの女生徒に続いて、今回は2回目。来年はカローラがウースター近郊の彼女の家に滞在することになっている。

わたしは夜「ファルスタッフ」の3回目。今日は18時半と開演が30分早い。わたしが出掛けるころからまた雪が降り始めて、帰宅するころにはすでに5cmほど積もっていた。春遠し。 

Posted: 2005年02月15日 (火) at 23:19 




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