Rigoletto の Premiere(新演出初日) 


小雪 / 外気温マイナス2度
7時20分起床。今日は夜の公演までなにも無し。なんだか昨夜は浅い眠りだったのか、午前中はどうもボンヤリとして過ごしてしまった。外はと見ると、朝から絶え間なく雪が降り続いている。その雪もサラサラとした粉雪で量は多くないのだが、一日中止むことなく降っていた。どうやら、今週はこんな日が続くそうで気分が滅入ってくる。 

ときどき外の空気を吸うために、テラスの雪掻きをする。娘たちは学校へ、ブリギッテも仕事なので、本来なら至福の時間なのだが、どうももう一つ頭がスッキリとしない。寝不足かもしれないと思ってソファの上に横になるが、眠れないままにまた起きてしまった。仕方がないので新しいメールソフトのThunderbirdをいじってみるが、アップル純正の「Mail」から乗り換えるだけのプラス・ポイントがあるのか、どうもよくわからない。

13時過ぎにユリアとカローラが帰宅。それぞれに昼食をとり、自室へ引き取って宿題(?)をやっている様子。わたしは台所の整頓をしてから17時半頃に家を出た。今夜は Rigoletto の Premiere である。

昨日の日記に書いたとおりマントヴァ公爵を歌うはずだった Ramon Vargas がこの役をキャンセルしたのでどうなることかと思ったが Tito Beltran が代役に立ちしっかりと歌い演じていた。こういう現実を見ると「ほんとうに数週間もの舞台稽古が必要なんだろうか?」と思ってしまう。しかし、わたしの感じたところでは、良くやってはいたけれど Tito Beltran はマントヴァ公爵のキャラクターではないと思う。この役を歌うテノールにはもう少しスタイリッシュな、気品と男の色気というものが欲しい。彼の歌唱はわたしには少し崩しすぎで、ときおりブッフォを聴いているような気がした。

肝心の Rigoletto だが、最後までわたしにはどうもわからなかった。舞台稽古始めの頃にあった声の艶が無くなっていて、歌に輝きが感じられないまま終わってしまった。聴かせどころの「悪魔め、鬼め」のアリアでもブーを貰ってしまった。あの部分の演出はひどい! Zubin Mehta 氏の指揮するオーケストラも全体的に音が大きすぎる。もう少し歌手をサポートする方向性があっても良いのではないかと思って、ときおり、歌手が可哀相だと思う場面があった。

今夜の唯一の救いはジルダ役のソプラノ Diana Damrau の健闘だろう。最高音の部分はちょっと薄くなる感じで、もう少しというところだったが、全体的に様式感の感じられる歌唱で声そのものにふくよかさがあり、自分の歌唱スタイルというものを持っている人だと感じた。今後に期待できる人。

カーテンコールですが、Tito Beltran には拍手とブラボーが少々かかりました。しかし、これは急の代役に対する「ご苦労さん、良くやった」という感じ。ジルダ役の Diana Damrau の登場では場内挙げてのブラボーでしたが Rigoletto の Mark Delavan にはかなり激しいブーが出ました。 Zubin Mehta 氏の登場では、ブーは出ませんでしたが、かなり露骨なおざなりの拍手。 Zubin Mehta 氏の表情も屈託ありげで、いつもほどの満面の笑みは見られず。

最後に演出チームが登場すると、これはもの凄いブーの嵐でした。ここ最近、これほどの力強い満場一致のブーはなかったことです。それに反発するように Zubin Mehta 氏が演出家の Doris Dörrie 氏を抱きしめて彼女の労をねぎらっていましたが、その行動に対しても盛大なブーが出る始末。まあ、演出家にとっては盛大なブーも、ひとつの勲章とも言えるので、そんなに悪いものではないのですが、それにしても見事なブーでした。(^_^;) 23時過ぎの帰宅。 

Posted: 2005年02月21日 (月) at 00:08 




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