波乱含みの Rigoletto・ゲネラルプローベ 


曇り / 外気温0度
土曜日の今日は11時半からの Rigoletto のゲネラルプローベだけ。幸いにも4枚の無料切符が手に入ったので、カローラ、ユリア、交換学生のジョー、そしてブリギッテのお母さんが来ることになった。ブリギッテは残念ながら出勤しなくてはならない。
 

土曜日と日曜日はジョーの学校での予定は無く、預かり先の家族との交流ということになっている。ちょうどうまい具合にゲネラルプローベがあって好都合だった。わたしは10時頃に家を出て劇場へ。
image
劇場の楽屋口は例によって切符を求める人が群がっていたが、いつもほどの人出でなかったのはちょっと意外だった。ゲネラルプローベの客層というのはどうしても年配の方が多くなるので、モダーンな演出ということが原因か、それとも土曜日のお昼という時間帯もあったのかもしれない。


さて、客席が殆ど埋まりゲネラルプローベが始まろうとするときに、係りからのアナウンスがあった。タイトルロールを歌うバリトンのMark Delavan が体調を壊しているので声を抜くことがあるということと、テノールの Ramon Vargas が病気のために、今日は演出助手が演技をして舞台脇でテノールのFrancesco Petrozzi が楽譜を見て歌うということになった。
image
これが第一幕の始めの舞台写真です。中央に立っている赤毛の猿が Monterone で手前に宇宙飛行士の服を着て写っているのが Rigoletto 。バレエの連中と合掌とで舞台は猿だらけ。(^_^;) われわれ合唱の部分はこれまでの練習通りでなんの問題も無く終わったのだが、やはり観客が入っていると緊張するのか、いつもよりは疲れた。


終了したのが午後3時頃。ブリギッテもその頃には仕事を終わっていたので、6人でレストランへ。今日はブリギッテのお母さんの招待。交換学生のジョーにバイエルン独特の料理を食べさせたいというもくろみもあったようだ。レストランは劇場のすぐ近くにある FRANZISKANER というバイエルン料理レストラン。土曜日の午後とあってけっこう混んでいた。それぞれに料理を頼んだが、わたしは Ente(鴨・アヒル)半羽のローストを頼んだ。ちょっと多いかなとは思ったが、メニューを見ると四分の一の値段が12ユーロ、半羽(二分の一)の値段が16ユーロということなので後者のほうを選んだというわけ。義母がご馳走してくれるというのに、この辺もケチな根性が出ます。(^_^;) でもとてもおいしくてペロリと平らげてしまったので、それは正解でした。

帰宅してから疲れと満腹とで横になったら少し眠ってしまった。ブリギッテもソファの上で眠ったらしい。夕方になって、劇場のホームページを見てみたら、危惧していたとおり、マントヴァ公爵を歌うはずだったテノールの Ramon Vargas が最終的にキャンセルして、Tito Beltran が歌うことになったらしい。今回の Rigoletto は波乱の幕開けとなりそう。

実は一昨日の日記には書かなかったけれど、Hauptprobe の時,第一幕が始まって Questa o quella という小さ曲を歌った直後 Ramon Vargas が激怒して楽屋へ引っ込んでしまうという出来事があった。これまで練習してきた動きと、回りが全く違う動きをして、神経が乱されて歌えないということである。彼にしてみればこれまで数週間の舞台稽古はなんだったのか、という怒りであったろう。これにはわたしも同感を覚えたし彼に同情した。仮面を付けることによる自己喪失(解放?)の結果だろうが、彼の廻りで大げさな猿の動作をして彼にちょっかいをかけている人達(それがソリストだったか合唱だったか、またはバレエの人達だったかは、仮面をかぶっている上に照明の暗さでわからなかった)にわたしも気がついていたので、彼の怒りは当然だと思った。演出面から来る精神的な混乱が彼のスタイリッシュな歌唱にも悪影響を与えていたのは数日前からわたしは気がついていた。初日を前にしてキャンセルする行為には賛否両論あるだろうが、わたしは彼のためには「よくやったと」喜んでいる。

わたしにしてみれば、今回の事件を無駄にしないで、現在の極端な演出至上主義を改めて貰いたい気持が強い。演出家たちには、舞台の上で歌い演じる歌手の生理、精神状態というものをもう少し繊細な感情で取り扱って貰いたいものだと思う。素晴らしい歌がまずあってこそのオペラである。その歌をぶち壊すような演出(舞台装置、衣装、メークを含む)などはわたしはどんなに斬新な舞台を作る人でもオペラ演出家として認めるわけにはいかない。

わたしには珍しく今日はちょっと怒っています。これ以上書いているとどんどんエスカレートしていくので今日はこの辺で…。 

Posted: 2005年02月19日 (土) at 00:40 




1年前の今日は? 2年前の今日は?