「運命の力」の4回目(このシリーズ最後) 


朝のうち小雨、のち曇り / 外気温19度
7時20分起床。朝から今日も室内が暗い。わたしが天気の悪いのを嘆く言葉を吐く前にブリギッテが「まったくもう」という感じで毒づいていた。そうしたら「イヤ、昨夜、去年の日記を読んでいたら、天気は今年と同じようなものだったよ」と云う台詞が口から出て、自分でもビックリ。自分も心中は天候の悪さを呪ってはいても、他の人から避難されると空をも弁護したくなるから不思議なものだ。(^_^;) 

ユリアは今日から2ヶ月間、病院での実習(Praktikum)が始まる。まだ、彼女がどのような学科を勉強出来るのか、受け入れ先の大学が決まっていないのでハッキリとはわかっていないのだが、とにかく、方向としては「医学関係」ということである。そして、大学での勉強が始まる前に「実習」という単位を取得しておかねばならない。わたしの隣人が医長をしているミュンヘン市立の病院に願書を提出しておいたのはずいぶん前なのだが、その返事が先週末に届いて、今日から開始と云うことになった。採用に当たっては、隣人の医長が推薦してくれたのかもしれない。

ブリギッテは8時過ぎに近くの医者に予約してあったらしく朝食後でかける。最近、たびたびひどい頭痛がするので、その相談だとか。明朝も血液採取の予約を取ってあるそうだ。彼女は、少しでも身体に異常があるとサッと医者に出掛ける。わたしのように一日延ばしに延ばして結局は行かない、というようなことは彼女の場合考えられないこと。感心してしまう。
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彼女自身の疑いは、最近家の近所に立った携帯電話用のアンテナの高い塔。その塔から電波スモッグが近隣にばらまかれているのではないかというのだ。あり得ることかもしれない。

一旦家に戻ってきたブリギッテと今日は一緒の路面電車で通勤。雨がぱらついていて、歩けるかどうかわからない微妙な天候ではあったが、彼女は途中で地下鉄に乗り換える最短の路線で行くから、それに引っ張られて同道。彼女の職場は劇場の斜め向かいなので、家を出てから劇場までボヤ〜っと、息をつくことも出来なかった。(^_^;)

10時から一時間半の音楽稽古。今週末に来る Billy Budd を最初から通す。その後、コスチュームのフロアーへ。本来は明日の10時に予定されていたKönigs Kinderの衣装仮縫いだったが、コーラス事務所の女性の手違いで、急遽、今日になった。わたしのような仕事は、こういう不意な変更もあるので、妙な話だが「下着はいつも清潔なものを着けていなくては」。時代小説などを読むと、侍は家を出る時には必ず清潔な下帯をつけるものだというのが出てくるが、あれはまさしく本当である。(^_^;)

で、この衣装だがなんとスーツ、シャツは勿論のことネクタイ、靴下から靴までが、全てピンク色である。鏡に映った自分の姿に一瞬おどろいたが、白髪頭にはけっこう似合っているかもしれないと思いはじめていた。そうしたら、次に出てきたのが「金髪のカツラ」である。これには参った。それをかぶって、大きな姿見に映った情けない自分の姿に「日本人の顔に金髪は絶対に似合わない」と確信する。(-_-;)

帰宅して簡単なメールチェック。そのあと一人で昼食をとり、一時間ほど仮眠を取る。一昨日の夜は遅い帰宅だったし、昨日の睡眠もなんだか妙に浅かったので少し疲れていた。目が覚めたあとコーヒーを煎れて飲み、少し声出しをするともう劇場へ出掛ける時間。今夜はこのシリーズ最後の「運命の力」である。

今夜の公演は Don Alvaro 役のテノールに変更があって、Frank Porretta が歌った。これがかなり良い。わたしは初めて彼を聴いたが音色も音程も安定していて、高音の輝きもなかなかのもの。出色の出来。経歴を見るとかなり重い役柄を歌ってきているようだ。もっと他の役も聴いてみたいと思う。今夜の Fabio Luisi はまた、一段と素晴らしかった。カーテンコールでも彼が一番のブラボーを取っていた。舞台横のモニターで見ていても、彼の棒を振る姿に飽きることがない。もっとミュンヘンで振って欲しい指揮者である。
帰宅は23時を過ぎていた。 

Posted: 2005年07月11日 (月) at 17:10 




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