「椿姫」の一回目 


曇り、時々雪 / 外気温2度
6時半起床。路面電車が走っている可能性は低いので、カローラを最寄りの地下鉄の駅まで車で送っていく。そのための早起き。やはり6時半起床というのはきつい。今日は午睡が必至だ。(^_^;) 

朝早く車を走らせたついでに地下鉄の駅にあるパン屋で Semmel を買って帰る。週日に Semmel を食べるというのは滅多にないことなのでなにやら得をしたような気分。8時頃出勤したブリギッテから電話があって、やはり路面電車は時間通りに走っていないという。彼女は家の前からヒッチハイクの形で通りすがりの車に地下鉄の駅まで乗せて貰ったそうだ。考えた末にわたしは Wettersteinplatz まで歩くことにした。

Wettersteinplatz までは45分、5000歩の距離だったが、歩道がしっかりと踏み固められていて普段のときよりも歩き易いくらいだった。11時半の音楽稽古には楽勝で到着。音楽稽古は例によって "Moses und Aron" 。11時半に終わってから、真っ直ぐに帰宅。帰りはまた45分の道のりを歩く気が起きずに、家に電話してアンナに迎えに来て貰う。(^_^;) やはり疲れていて、帰宅後、昼食をとらずに先ず午睡を取る。1時間ほど眠って起きてから遅い昼食。そのあとはカローラの Musikschule への送り迎えで、娘たちの幼かった時期を思い出した。路面電車が走らないとやはり不便なものだ。

今夜は「椿姫」の一回目が19時半からあるので、車で家を出て最寄りの地下鉄駅から乗り換えるつもり。バイロイトへ帰るアンナと自動車教習所へ行くカローラを乗せて18時に家を出る。今日も開演前1時間以上も前に劇場に到着。まあ、遅れるよりは良いか。

今夜の主役2人は多分ミュンヘンでは初めて(だと思う)この役を歌う Anja Harteros (Violetta) と Piotr Beczala (Alfredo) だった。第一幕の Violetta のアリアを袖で聴いてみたが、彼女の声質だとこの役にはちょっと重いかなと思った。ただ、このアリアは幕が開いて間もないときだから喉が温まっていないということも考えられるので、この判断は早計かも知れない。このアリアの前半はかなりゆっくりのテンポで歌っていてそれがピタッと決まったときにはゾクッとするところもあった。これだけゆっくりとしたテンポで歌えるというのは呼吸法もしっかりしているということだろう。大柄だがスリムな体型なので舞台映えはすると思う。テノールはポーランド人のようだが悪くなかった。しかし、とびきり良いというほどでもない。

Mangfallplatz まで地下鉄に乗り、そこに停めておいた車に乗ろうとドアを開けたら、その瞬間に後ろから声をかけられて一瞬ギョッ。見るとわたしの後ろには若い男が立っていて「刑務所はこの方角か」と指さして訊いてきた。暗闇の中で突然後ろから声をかけられ、おまけに「刑務所」という言葉にわたしは動転してしまって180度正反対の方角を教えてしまった。(^_^;) 自分の間違いに気がついたのは車を発進させてしばらくしてから。1,2分迷ったのだが、この寒い夜に、わたしの間違った指摘で反対方向に歩いている若い男性のことがどうにも気になって、また引き返して彼を捜した。運良く反対方向へ歩き続けている彼を見つけて間違いを謝り、お詫びに彼を助手席に乗せて刑務所まで走った。彼はわたしが戻って知らせてくれたことに対して「こんなに親切にして貰って、わたしはミュンヘンが好きになりましたよ」ととても喜んでくれた。

帰宅したのは23時近く。カローラも数分前に自動車学校から戻ったところで「ママはまだ帰ってないよ」と言う。てっきり一月に一度ぐらいある遅い残業だろうと思っていたところへ電話のベルが鳴る。勤め先の店主夫人からで「奥さんはその後どうなりましたか」と訊かれたが事情が良く飲み込めない。向こうもわたしが知らなかったことに驚き「仕事の終わり頃に気分が悪くなって救急車で病院へ運ばれた」と教えてくれた。しかし店主夫人もどの病院に運ばれたかは分からなかったらしい。

わたしはてっきりまた心臓発作かと思って愕然としたら、その3分ぐらいあとにまた電話が鳴り今度はブリギッテ本人から「どうも胃腸から来たみたいで気分が悪くなったようだけど、今帰れるから迎えに来てくれ」とのこと。心臓でなくてホッと一安心。すぐに車で迎えに行って帰宅したが、顔色が真っ白なので暖かいハーブティーを飲ませてすぐに休ませた。明日は元気になってくれると良いが。なんだか長い一日だった。 

Posted: 2006年03月06日 (月) at 17:30 




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