2幕の最後、喧嘩騒動の場面のあとで
Kurt Moll
が夜番(Nachtwächter)
の役で出てきた。今夜が彼のオペラ歌手として最後の舞台である。さすがにこの端役には勿体ないほどの堂々とした歌唱で幕を閉じたあと、われわれ合唱団も全員舞台に出て(ふだんはこの場面でカーテンコールには出ない)全員で彼のオペラキャリアを称えた。観客もほとんどスタンディングオベーションとなり、これが20分余りも続いたろうか。彼はこのあと数回のコンサートがあるらしいが、それをこなしたあとは後進の指導に当たるということである。
合唱団はこのあとまた2時間近くの休憩。今日は公演終了後に舞台裏で恒例のシーズン終了パーティがある。加えて今夜は総支配人の
Sir Peter Jonas 氏と音楽総監督の
Zubin Mehta
氏のお別れパーティも兼ねるので、われわれはアトラクションとして歌う曲の練習をする。
オペラ最終場面の
Peter
Seiffert
のアリアは近年にないほどの集中力と輝かしい声で素晴らしかったが、肝心のハンス・ザックス役である
Jan-Hendrik Rootering
がスタミナ切れか、ちょっと心配になる場面もあった。(汗)カーテンコールになりバイエルン州・文化相である
Thomas Goppel 氏が登壇して Sir peter Jonas
氏と Zubin Mehta
氏のこれまでの業績を称え、感謝状を贈る。最後は観客と、われわれ全員に前もって渡されていた白いハンカチを一斉に振って、彼ら2人にお別れを告げて幕となった。
そのあとは舞台裏にしつらえて準備してあったパーティ会場に移り、ここからは劇場関係者・招待者だけの内輪のパーティとなる。今回は入場制限もいつになく厳しく、前もって渡されていた腕輪をしていないとガードマンに入れてもらえない。それでも、あの広い舞台裏が(客席から見える舞台の約3倍の大きさ)人でギッシリと埋まった。飲み物は生ビール、赤ワイン、白ワインと豊富だが料理の方は数種類のパスタとソース、それに簡単なオードブルで簡潔なもの。今夜の主役は大画面を使った映像であった。その間を縫って合唱団有志による
"Time to say
goodbye"
があったり、バレエのソリストによるコミックな踊りがあったりして盛り上がる。わたしもその間に同僚や友人たちとシーズン最後の挨拶を交わして午前0時半頃に帰宅の途につく。一日中「別れ」というテーマが続いた長い時間だった。疲れたけれども、明日からは待望の夏休み〜!