散髪 


日曜日の夜、ブリギッテに散髪して貰った。1月の半ばには髪が伸びすぎていて、とっくに散髪していなければならない状態だったが、「ラ・チェネレントラ」の舞台で、髪の毛をカールするので、終わるまで切らないで欲しいとメーク係の方から頼まれていたために、それが終わるまでは切れなかった。長いこと散髪しなかったので、いつになく沢山の髪の毛が切られて風呂桶の中に落ちていった。スッキリした。(^_^) 

なぜ、床屋に行かないでブリギッテに散髪をして貰っているか。それは、ドイツの床屋に対して大いに不満があるから。

ドイツに来た1977年から床屋には殆ど毎月、行かなければならなかったが、一度として満足したことはなかった。技量から、サービスまで、どこをとっても日本の床屋の方が数段上であると、わたしは今でも思う。まあ、彼たちから見れば、わたし達日本人の髪の質がヨーロッパ人と比べて、太く、堅く、直毛であるというのも、その理由の一つだろうけれど、それを差し引いても、やはり不満が残る。

まず、椅子に座ると必ず「わあー、太くて堅い髪ですね〜」から始まって、どこの国から来たか、とか日本人は皆、こういう髪の質なのか、とかいろいろ聞かれるのが煩わしい。わたしは床屋の椅子に座ると、必ずといって良いほど、眠気を催すので、そのままそっとしておいて欲しいのだ。一度などは、椅子の上でウトウトとしていたら、髪の毛を一本エイヤッと抜かれて、髪の毛の太さを測る機器で測定され「あなたのはわたしのより10倍も太い!」と驚かれた。放っておいてくれ、もう!

普通の床屋はこちらから言わなければ、髪を切った後、洗髪してくれない。散髪後洗わなかったら、首筋から切られた毛が背中や胸に入って、チクチクと痛いじゃないか、ということをなかなか理解してくれなかった。ドイツ人の髪の毛というのは切るそばからフワフワしてまるで埃のような感じである。だから決してチクチクしないのだろう。もちろん、顔をあたってくれると言うこともない。ただひたすら切るだけ。


これに嫌気がさして、ある時ブリギッテに相談した。彼女、わたしの頭を見ていて「良いハサミがあれば、多分、わたしに出来るかもしれない」というので、Solingen のハサミを購入して試してみた。最初はちょっと戸惑ったようだったが、だんだんうまくなって、今では手慣れたもの。それ以来今日までわたしの散髪は彼女がやってくれている。

夏の間は、天気の良い日を選んで庭で散髪して貰う。そうすれば、あとで床の掃除をしなくても良いし、切った髪は花壇の肥やしになる(?)、とブリギッテは喜ぶ。気候が寒くなると、風呂桶の中にその場が移る。この時には後始末はわたしが自分でやる(当然か)。 

Posted: 2004年02月03日 (火) at 17:35 




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