「スズメバチの巣退治」顛末記(訂正あり/2004年7月10日) 


ドイツの夏はスズメバチ(Wespe)に悩まされることが多いです。その年によって発生率が変わりますが、これがよく人を刺すのです。夏になると毎年刺されて死ぬ人が数人出ます。お年寄りとか子供は首筋とか腕に違和感を感じ、ハエが止まったかと思って不用意に払おうとしてよく刺されるそうです。刺されて死ぬケースは、まず、アレルギーの人、そしてジュースやビールを飲んでいる時に、知らずにコップの中に入り込んだスズメバチを一緒に飲んでしまった場合が多いそうです。驚いたスズメバチに喉の内側を刺されると当然腫れあがりますから、それで呼吸困難になり死に至るというものです。当然ですが、刺されるともの凄く痛いそうです。わたしの家族の中で、これまで刺されたことのないのはわたしだけ。家族の皆はスズメバチが近くで飛んでいるだけで恐怖に襲われて大騒ぎ。わたしが「ほっとけば何もしないよ」というと「あなたは刺されたことがないから怖さが理解できないのよ」と反撃されて返す言葉がありません。それがあろう事か、数日前にわが家のテラスの天井の隅に巣を作ったのを発見。もう直径10cmを超えるぐらいに大きくなってしまっています。さあ、困った。 

数年前までは、この様な場合には消防署に電話すると、養蜂家のような格好ですぐに来てくれて処理してくれました。しかし、最近はスズメバチも生き物で、それを殺すことは自然界の循環を壊すことになるという理由で来てくれません。その理論は理解できる点もあるのですが、たまたま当事者になってみると、家族が今年の一夏を、恐怖感を持ってビクビクしながら過ごさなくてはならないというのも納得できません。

それで職場の同僚数人に意見を聞いてみました。その誰もが総論賛成、各論反対でした。これはやはり巣を除去するしかないと思いその方法も教わりました。「スズメバチが活動を止める夜に殺虫剤のスプレーを巣の中に吹き付ける」というものです。頭の中ではその方法を理解したが、しかし、正直言って、やはり怖い。(-_-;) 何度も頭の中でシミュレーションを行い、これなら大丈夫だろうと、やっと昨夜決行しました。


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まず、装備。首の回りにタオルをきっちりと巻いて、そのうえからナイロンの長袖のジャンパーを着ます。本当は水中めがねを捜したのですが見つからなかったので、普通の眼鏡を掛けます。頭には帽子をかぶってカバー。帽子の上から無線ヘッドフォンを付け耳を覆います。手には庭仕事用の手袋。脚立を用意して、両腕には懐中電灯とスプレーの缶。これでどんな格好か、大体想像できるでしょうか。写真にも撮りましたがあまりにも馬鹿馬鹿しい扮装なのでここにはアップしません。(-_-;)
読んでくれている数人の方から馬鹿な姿をアップしろと言う要望が出ましたので恥を忍んで載せます。(-_-;)

スプレー吹きかけ作業自体は、心配していたほどのこともなく無事に終わりました。無線ヘッドフォンを付けていたので、スズメバチの羽音が聞こえていなかったのだが、結果的にはこれが正解だったようです。わたしの顔の廻りには少なくとも20匹ぐらいのスズメバチがブンブンと飛び回っていたらしい。この羽音を聞いていたら少しパニックに陥っていたかも知れない。遠くで見ていたブリギッテとカローラは顔を刺されるのではないかと気が気ではなかったとか。「知らぬが仏」でした。(^_^;) この夜はそこまでやってお終い。

今日の午後、帰宅してからしばらく観察していましたが、どうやら生き残りのスズメバチはいないようです。それで巣を天井から引きはがす作業をしました。狭いところに作っていたので、二つに割らなくては取り出せなかったのですが、巣の中を見てみるとこれから成虫になろうとするサナギが一杯詰まっています。
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心の片一方では、「殺生をしてしまって申し訳ない」と思い、もう一方では「これだけのスズメバチが誕生していたら今年の夏、わが家の家族は家の中に閉じこもっていなくてはならなかった」と安堵感を持ちました。

今朝、スズメバチ退治の時にわたしがした防備の写真を、ユリアに見せた。それを見るなり彼女は大笑い。カローラが言うには、もしスズメバチがわたしの鼻の穴に入り込んだらどうしようと思ったらしい。それを聞いていたユリアの返事が傑作。「私らが使っているOBで鼻の穴を塞げば良かったのに」。ちなみに、OB というのは彼女たちが使っている「タンポン」の名前なのです。(-_-;) 「コラ〜ッ、なんということを父親に向かって言うんだ。」(爆笑) 

Posted: 2004年07月09日 (金) at 15:40 




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