不正乗車? 


昨夜、夜の公演に出向くときの路面電車の中で切符のコントロールがあった。 

わたしは Grünekarte という定期券のようなものを毎月購入して使っている。これは午前9時前には利用できない、という欠点を除いては便利なもので、わたしだけでなく家族、知人の誰が使っても良い。検札が来たのでわたしは当然それを見せたわけだが、この Grünekarte は不適当だ、と言われた。そんなことはないでしょう、と言ったらわたしの Grünekarte のある場所を指して、ここには Aussenraum(外殻区) と書いてあって、現在は Innenraum (市内)だからこの Grünekarte では乗ってはいけない、というのである。

エ〜ッ、と思ってよく見たら、確かにそうなっている。非は明らかにわたしの方にある。そこで40ユーロの切符を切られて、申し立てがあるときには Poccistrasse にある MVG の事務所まで行って説明してください、と言われた。しかし、2月もあと一日で終わろうとするこの日にこういう事に遭遇するとは、なんだか不思議な気がしました。このまま2月が終わっていれば、わたしもまったく気がつかなかったことですから。

どうしてこういう事になったのかは自分でもわからないが、どうやら駅に設置してあるタッチセンサー式のコンピュータを使って購入したときに、39.5ユーロという値段だけを見て別のボタンを押してしまったものと思われる。AussenraumもInnenraum も同じ値段なのである。(-_-;)

現在ミュンヘン市の交通機関で、不正乗車が見つかったときなどは40ユーロの罰金が科せられている。しかし、わたしの今回の場合は同じ金額を払っていることだし40ユーロの罰金というのはないんじゃないか、と反論しても、私たちの任務は不正乗車を発見することだけでそれ以上の権限は持っていない。申し立てがある場合には MVG の事務所へ行って説明して貰いたい、と言うだけ。この辺はいかにもドイツらしい融通の利かなさなのですが、どことなく納得している自分がいる。仕方なく、せっかくの休日だったが市内まで足を運ぶこととなった。

その事務所へ行って、窓口で説明を始めると、そういう用件は上の階に行ってくれとのこと。階段を上ってそこへ行ってみると廊下には5〜6人がベンチに腰を掛けて順番を待っている。誰が最後の人かを確認してわたしもベンチに座ったのだが、わたしを含めてその人たちは全員外国人(東欧圏、トルコ系、アフリカ系)だった。これは今日だけの現象だと思いたい。(-_-;) なんだか自分が一挙に別の社会階層に陥ったみたいな気がして、気まずい数分間を味わった。途中から来た中年の婦人が順番を無視して割り込もうとしたので、わたしが(なんでわたしがこんな事をしなくてはならないんだ!)順番があるのだということを説明したのだが「いや、わたしは一度ここに来てから、ちょっと下の階に下りていたのだ」というような誰にでも嘘とわかるような説明をし始めた。この婦人をなんとか説得して最後尾に並ばせた頃に、わたしの順番が来た。

係りの女性はごく普通のドイツ人で、わたしの釈明を微笑を浮かべながら聞いてくれた。「そういう例はこれまでにも何件もあります。しかし規則は規則で、間違ったのはあなたの方ですから、罰金は払って貰わなくてはなりません。だけど40ユーロというのは確信犯の人に対して科せられる罰金ですから、あなたの場合は10ユーロの罰金という通例になっています。これでいかがでしょうか」と説明され、わたしも納得。おとなしくその場で10ユーロを払って一件落着と言うことで、その事務所を退出した。

一瞬の不注意なボタンの押し間違えが、今日のような思いがけない労力、時間、金銭をもたらしてしまうことに、これからは注意しなくてはと反省しきり。しかし、後味の悪い出来事だった。(-_-;) 

Posted: 2005年02月28日 (月) at 21:42 




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