腸の内視鏡検査腸ガンの早期発見のための検査だと思うのだが、ドイツ語では
"Darmspiegelung
(Koloskopie)" と言うらしい。お尻から内視鏡を突っ込んで、腸内の異常を観察することらしい。これが明日に迫った。
わたしは1947年(昭和22年)
生まれだから、もう、とっくにこの検査は受けていないといけない。しかし今日までなんだかんだと理由を付けて伸ばしてきたのは、恥ずかしながら恐怖感から。検査の結果が悪く出たらどうしよう、というのもあるのだが、それよりも怖いのは、お尻から何かが自分の身体の中に入ってくる、ということへの物理的恐怖感が強い。これにはちょっとした歴史(と言うほどでもないが)がある。
1980年にドイツのGelsenkirchen(ゲルゼンキルヒェン)という街のオペラ劇場に、初めてテノール・ソロ歌手として契約が取れた。その劇場で歌っていた時期に、排尿の時に異常を感じて医者へ行った。一人で行くのは心細かったので(^_^;)、ブリギッテにも付いてきて貰った。 そのでっぷりと太った医者はよく劇場にもオペラを聴きに来るらしく、わたしの顔を知っていて、診察前にはしばしオペラ談義に花が咲いた。わたしの病状を説明すると、前立腺が腫れているのでしょう、ということで診察が始まった。まず、ズボンを脱いで下半身裸になってくださいとのこと。この時にはまだ、触診ぐらいだろうと思って楽観していたのだ。しかし、彼が薄いゴムの手袋をはめてその指にワセリンのようなものを塗りつけた時、わたしの身体の中の血がスーッと沈んでいくのが自覚できた。 どうも、肛門から指を入れられての触診らしい。そして、その医者の指のなんと太いこと。もう、暴力的に太い!。わたしの指の優に3倍はある太さである。ブリギッテに救いを求めようにも、全く、わたしの不安なまなざしに気づいてくれない。そして、彼の指が入れられて掻き回されたとたん、まるで気を失いそうな強烈な痛み。ブリギッテもさすがに、真っ青なわたしの顔を見て心配になったそうだ。失神寸前だった。それ以来、お尻から何かを入れられるということに対しては、限りない恐れを抱いている。幸い、あのとき以来、今日まで前立腺は異常を見せていないが、本当に強烈な体験だった。これが、今日まで、のらりくらりと逃げ続けてきた理由である。(-_-;) その後日談・・・・・ 1985年にミュンヘンの今の劇場の合唱団に入って間もなく、仲間同士でビールを飲みながら談笑していた時、わたしがその体験談を披露した。すると、同席していたアメリカ人の同僚が、本当に嬉しそうな顔で「それは、おまえ、練習すれば良いんだよ、練習!」わたしは「???」「練習って、どういうことだ?」と不思議だったのですが、彼は、仲間内では知れ渡ったホモだった。オペラ劇場というのは、この点、普通の社会と違っていて、ホモセクシャルの人がやたらと多いし、それが半ば公認されている印象もある。ちなみに、彼はその翌年、エイズに掛かったかなと思ったらアッという間に死んでしまった。 Posted: 2004年02月03日 (火) at 14:44
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