ドライブ 


ユリアの運転練習に付き合って、午後、ミュンヘン郊外を走ってきたが、助手席に座って景色を眺めている間に、日本人とドイツ人の車に対する思い入れの違いについて、ふと考えた。 

今日の午後、運転免許取り立てのユリアに頼まれて、また、ミュンヘン近郊を1時間ほど走ってきた。後部座席には、今日もCarolaが乗っている。わたしが住んでいるところはミュンヘンの南のはずれになる。車で5分も走れば、そこはもうミュンヘン市内ではなくなる。今日などは、一面に広がる畑はまだ雪がかぶっていて、木立の黒との対象が、まるでブリューゲルの一幅の絵を見るような感じだった。

そこで気がついたことがある。日本にいた時には「ドライブ」と称して、特別な目的も持たずに山道や海岸線を車で走ったものだった。車を走らせることそのものが目的であったように思う。振り返って考えてみると、ドイツには、この「ドライブ」という概念が日本に比べると、全く無いか、薄いような気がする。車を走らせるのはハッキリとした移動の目的のある時だけというのが殆どだ。

この違いはどこから来るんだろう?と考えていた。やはり、考え方、行動が日本人に比べると、実利的なんだろうと思う。用もないのにガソリンを使うことはないという倹約家としての顔、そして近年は環境保護問題がクローズアップされてきているので、いたずらに車を走らせることによる大気汚染のことを考えてのこともあるかもしれない。

まあ、例外というものはどこにでもあるが、車の中を見てみるとまことに素っ気ないもので、カバーを掛けたりティッシュペーパーの箱がきちんとおいてあったりする車はまず見たことがない。車の外も泥や埃が付いている車が実に多い。逆を言うと、ピカピカに磨かれた車というのはとても少なくて、たまにそういう車を見るととっても目立つ。

やはり、ドイツ人は車を、道具以上のものとしては見ていないのだと思う。 

Posted: 2004年03月07日 (日) at 15:28 




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