東京の電車の中でハッとしたこと 


飛行機の中で読もうと思って、今、評判らしい藤沢周平氏の小説の中から「海鳴り」上・下巻を持っていった。飛行機の中では結局眠ってしまったりして本を開こうという気力もなかった。東京に着いてホテルに入ってから、少しずつ本を読む心の余裕みたいなものが出てきた。ホテルの自分の部屋にじっとしているという時間は意外と少なかったので、結局読むのは電車の中ということになったが、これはミュンヘンにいるときと同じである。 

さて、「海鳴り」も佳境に入り、いよいよ、相思相愛の主人公二人の「濡れ場」の部分にさしかかっている。サラリとした描写ではあるけれど、読むものの心をときめかせる力があるその箇所を読んでいて、ふと隣席からの視線を感じた。そこでハッと現実の世界に引き戻され、おおいに焦った。ここは日本だ〜!

ミュンヘンの電車の中で日本語で書かれた本を読んでいるときに、隣の人がのぞき込んできても、その内容までは解りゃしない。日本語が珍しいだけで覗いている人が100%だからだ。従って、どんなポルノっぽい小説を読んでいようともまったく平気で、自分だけの世界に浸っていることが出来る。これは独特の開放感があって楽しいものです。

そうだよな〜、日本にいたときには、読んでいる本の題名を知られたくない時などは本にカバーを掛けて読んでいたものだった。良かったな、ミュンヘンに住んでいて、とその時思った。(^_^;)
 

Posted: 2005年10月05日 (水) at 08:32 




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