同僚のお別れパーティ 


夕方からの音楽稽古が終わったあと、同僚のお別れパーティがあった。彼は、わたしと同じ第一テノールの一番の古株。ドイツでは数年前から、65歳がいちおう定年という決まりになっているが、彼は63歳で年金生活者に入ることになる。 

規定より2年早い定年ということで、就労年数が少ないと思ったら彼の場合にはそれは当てはまらない。なんと、今年になって彼は40年勤続で劇場から感謝状とメダルと貰っている。40年というのは凄い数字だと思う。勤め上げたことも凄いがそれだけ自分の声を管理して、今日まで持たせたということが凄いと思うのである。

彼は愛すべき性格の男で、生粋のバイエルン人らしく大のビール好き。好きというだけではなく、その酒量も凄いし、いくら飲んでもビシッと仕事をするということも又凄い。劇場にあるカンティーネの Stammtisch(グループ専用の卓) に行くと必ず、いつもと同じ席にビールのグラスを傾けている彼の姿があった。彼はその席のことをユーモアをまじえて「俺の事務所(Büro)」と呼び習わしていた。 わたしが合唱に入り立ての20年前の頃、午前中の音楽稽古の前にカンティーネに立ち寄ると、数人の仲間と一緒に彼の姿も勿論そこにあった。窓から差し込む朝の光を浴びて、ビールを飲んでいる彼の姿がなかなか良いもので、わたしもそれに倣ってビールを飲んだ。そうしたら、わたしは酔っぱらってしまってその日の音楽稽古は全然精神集中が出来なくて懲り懲りだと思ったことがある。なんといっても朝9時過ぎに飲むビールは滅法効きます。(-_-;) 

彼は1977年から4回を数える日本公演も欠かさず同行して、日本大好きの男でもある。今回の日本公演が彼の最後の日本訪問となった。彼が話してくれたことだが、ある日本公演の時、彼がビルの屋上でビールを飲んでいたときに大きな地震があって、そのビルがゆらゆらと揺れたのだそうだ。それまで彼は地震という物を体験したことがなかったから(ドイツ人の殆どはそうです)、一瞬「おぉ、俺、そんなに酔っぱらうほど飲んだかな」とその日それまでに飲んだビールの本数を数えたとか。(^_^)
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バイエルン人の彼にふさわしく、今夕は典型的なバイエルンの食べものである Leberkäse, Kartoffelnsalad, Brezeln(左の写真) デザートは Apfelstrudel(アップルパイにバニラソースを掛けたもの)というものだった。勿論、ビールは樽からの生ビールである。(^_^) とにかく、40年間、ご苦労様でした。 

Posted: 2005年10月28日 (金) at 23:40 




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