オペラ放浪記 / 原田 満著(知玄社) 


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オペラを聴くためだけにヨーロッパ旅行をした体験記である。著者は1998年を皮切りに2001年、2002年2月〜4月、2003年3月〜4月、2004年2月〜4月、と過去5回ヨーロッパを訪れている。この本は2001年編。この年には61日間にオペラを59本観て回った事が書かれている。これはちょっと考えただけでも驚異的な数字です。 

この本の帯に次のように書かれています。
ヨーロッパのオペラは安い!
総額60万円。61日間、列車内28泊、オペラ59本、演奏会12回聴きまくり
全公演の詳細データを掲載

とにかく驚くことは著者の行動力です。例えば、皮切りに2月7日の夜、チューリッヒで「ドン・カルロ」を観た次の日にはブリュッセルで違うオペラを観ています。推理小説の謎解きを見せられたようで、不思議な感じがするのですが、この種明かしは彼が夜行列車を使って移動しているという点にあります。彼は日本から一等車のユーレイルパスを購入し、それを61日間フルに利用しているから出来ることです。若い時期の体力のある時代にしかできないことではあると思いますが、この本は最初から最後まで驚きの連続。とにかく面白いです。(^_^)

この本の最後の方には、ヨーロッパのオペラ劇場の値段と日本のそれとを比較して、料金格差の大きいヨーロッパのオペラ劇場があらゆる階層の人達にオペラを開放している事、そして、それによって文化の裾野が拡がる役割を果たしていることが述べられていて、大いに納得させられます。

また、この本には、切符の取り方とか訪れた劇場のインターネットのアドレスも書いてありますので、ヨーロッパにオペラを観に行ってみたいと思った方には大いに参考になると思われます。(2005年1月9日読了) 

Posted: 2005年01月10日 (月) at 17:05 




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