「炎立つ」/ 高橋克彦著(講談社文庫) 


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3月の半ば頃にいつも買い物をする日本食料品店「Y.Suzuki」 に立ち寄ったところ、借り出し自由の本棚の中に「炎立つ」全5冊があるのを見つけた。高橋克彦という作家を知らなかったが、パラパラとページを繰ってみるとなにやら面白そう。しかし、一編に5冊借りてしまって面白くなかったら困るな、と思い最初の2巻を借りて家に戻った。ちなみに全5巻の表題は次のようになっている。1.北の埋み火 2.燃える北天 3.空への炎 4.冥き稲妻 5.光彩楽土 

家に戻って、さっそく読み始めてみるとこれが面白い。どうやら、前九年の役、後三年の役を描いた小説らしい。わたしも日本の歴史小説というのは好きなのだが、今まではやはり戦国時代、そして幕末、明治について書かれた本が面白いと思っていた。中学校の時代に前九年の役とか後三年の役というのは習ったはずなのだが、教科書でもこの辺の歴史はサラッと通り過ぎてしまっていたような気がする。そんなわけで、この時代の歴史というものをわたしはほとんど知らなかった。正直に言って、藤原三代の始まりがどこからだったのかも知らなかった。今回は読み進むうちにその歴史も頭に入ってきたので、この作家には感謝。(^_^)

借りてきた2巻はあっと言う間に読んでしまって、2巻目を読みおわった次の日にすぐ返しに行ったのだが、なんと3巻から5巻までが本棚から消えていた。誰かが借りてしまったらしい。しまった、こんな事なら最初から5巻全部借りておけば良かったと後悔。と、そこへこの店のご主人が現れて、彼女が読んでいることがわかった。そこでその数日あとに彼女の好意でめでたく借りることができてホッと一安心。(^_^)

1巻から3巻辺りまでは源義家が良く出てくるのだが、この人のことも、別名、八幡太郎義家と呼ばれた弓の名手であったぐらいしか知識がなかった。そうそう、わたしの生まれ育った福島県いわき市には 勿来(なこそ)の関跡という旧跡があって、小学校だったか中学校の遠足で訪れた記憶があり、源義家もこの関を通過しているそうで彼の詠んだ次の歌が石碑となっている。

吹く風を 勿来の関と 思えども
道もせに散る 山桜かな

4巻目辺りから少し読むスピードが落ちてしまったが、全部読み終わったあとはずしりとした充実感が残った。また、これもあとで知ったことだが、この本は NHK の「大河ドラマ」として放送されたらしい。見たかったような気もするが、見ないで良かったと思わないでもない。(2005年4月12日読了)
 

Posted: 2005年04月14日 (木) at 16:06 




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