地下鉄(メトロ)に乗って / 浅田次郎著(講談社文庫) 


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これは9月に日本へ行くときに飛行機の中で読もうかなと思って持っていった文庫本だった。結局、飛行機の中では本を開く元気もなく、日本に着けばあちこちに移動するのに疲れ果てて、読み終わったのは9月も半ばを過ぎてからだった。 

これを書いている今日はもう10月25日だから、本の内容はすっかり忘れてしまっている。(^_^;) もう一度パラパラとめくりながら気のついたことだけを簡単に記しておく。
この作品は1995年に「吉川英治文学新人賞」受賞作だという。短編の多いこの作家にしては力のこもった長編だと思う。わたし自身は昭和22年(1947年)の生まれだから、焼け野原になった銀座の光景など写真でしか知らないのだけれど、幼年時代の貧しさだけは良く憶えていて、自分では見たことのない戦後の荒廃した風景なども、頭の中に自分なりの映像を描くことが出来る。親近感という奴かもしれない。

内容は地下鉄(メトロ)の中で起こるタイムスリップを起点として、さまざまな登場人物を配し、誰もが心の中に持っている過去の懐かしさへ運んでいってくれる。妙に居心地の良い小説だった。
(2005年9月某日、故郷にて読了)
 

Posted: 2005年10月25日 (火) at 16:24 




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