ドンレミイの雨 / 池波正太郎著(新潮文庫) 


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この作家の本を最後に読んだのはいつだったろうかと Blog を遡ってみたら去年の8月(剣客商売 辻斬り)だった。ずいぶん時間がたってしまったものである。今回読んだ本はいつものハイジ文庫ではなくて日本食品店 SUZUKI さんからお借りしてきたもの。 

これは小説ではなく、旅の記録である。含まれているのはフランス、ベルギー、シンガポール、バリ島への紀行文。小説とは違うけれど全体に漂う空気感はやはり池波正太郎の本である。ところどころに記されている日付を見ると昭和57年から昭和59年にかけての旅行記のようだ。彼は古き良き時代の香の残るフランスーパリが好きだったようだ。

この本は文庫本ながら、旅先の写真と彼の描いた絵がいたるところに散りばめられていてとても楽しい。やはり紀行文というのは目で楽しむ部分があった方が嬉しい。これらの写真は時が経てば経つほど貴重で懐かしいものとなるだろう。

ご夫婦で旅をした章もあって、ところどころに出てくるご夫婦の会話がこれまた「古き良き時代」という感じでほのぼのとした幸せ感があった。池波正太郎氏は昔ながらの「おい、お前」といった調子のぞんざいな口調なのだが奥様の受け答えを読んでいると、これは幸せな夫婦の形だなと思う。

ドイツ語も他の欧米語同様に男言葉、女言葉というのは無いから、書かれた会話の文章だけを読むととつっけんどんに見えるけれど、日常の生活ではそんなことはちっとも気にならない。やはり、形よりも心なのだろう。

巻末を見ると池波正太郎著のエッセイ本の数々が列記されている。
「フランス映画旅行」
「旅は青空」
「食卓の情景」
「散歩のとき何か食べたくなって」
「むかしの味」
「味と映画の歳時記」
「池波正太郎のフィルム人生」」
「映画を見ると得をする」
「日曜日の万年筆」
「男の作法」
今度、集めてみようかしら。(^_^)
(2006年2月中旬読了) 

Posted: 2006年02月22日 (水) at 16:33 




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