箱庭 / 内田康夫著(講談社文庫) 


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読み出すと止まらない浅見光彦シリーズ。もしわたしが日本に住んでいたら BOOK OFF なり書店に駆け込んでありったけの「浅見光彦シリーズ」を買い漁っているかもしれない。何でこんなにクセになるんだろう。(^_^;) 

この本は1993年に単行本として発行されたもの。かなり厚い本で(485ページ)表題も「XXXX殺人事件」とはなっていない。このシリーズの中では早期の作品なのかどうか調べてみないと分からないけれど、この作品の始めの方で兄嫁の和子という登場人物が描かれているのを始めて読んだような気がする。

今回はその和子の中学時代の写真から物語が展開していく。安芸の宮島ー厳島神社で起きる殺人を冒頭に置いてあるところが「旅情ミステリー」という名の一端を感じさせる。しかし、このシリーズには珍しく話はかなり大きく膨らんで、これも珍しいことだが最後は警察庁刑事局長である兄の陽一郎も重要な場面で登場してくるという大掛かりな展開。

今回も大いに楽しませて貰ったが、作者が後書きで述べている「プロットを持たずに書き始めた作品」というのが本当だとしたら、この人はある種の天才ではないかとまで思ってしまう。内田康夫作品はまだまだ未読のものがあるのでこれからも大いに楽しみである。
(2006年3月13日読了) 

Posted: 2006年03月15日 (水) at 14:06 




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