盗まれたウェディング・ベル / 村松友視(中央公論社) 


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じつはこれまで 村松友視氏の本を読んだという記憶がない。「時代屋の女房」という直木賞受賞作は遠い昔読んだかもしれないけれどその内容となるとまったく覚えていない。この本が 村松友視氏の本に接する最初といってよいと思う。 

あらすじは地方から東京・新宿に出てきて小さな劇団に入ったミリという女性を軸に、劇団の座長、剣道とおる、行きつけのスナックKのマスター、そして仲の良い2人の娘たちといった人物たちを絡めて進んでいく。話の筋自体はとりたてて昂奮するとかいうものではない。この本が面白いのはそれぞれの登場人物の会話、とりわけ、剣道とおる、スナックkのマスターによって語られるさりげないけれど洒落ている会話の数々だと思う。この会話の部分を味わうためにもう一度読み返してみたいな、と思うのは村上春樹氏の書く世界とどこか似ているのかもしれない。

「乙女の軀の中に誰でもしまってある、素敵な人と結婚して子供を産んで・・・という夢の音がウェディング・ベル。しかし都会でひとりで頑張っている女性は、いつしか自分を磨き上げてゆく時間のほうが楽しくなってしまって、結婚できなくなってしまう」ということをこの本のタイトルは意味しているらしい。

江利チエミ(なつかしい!)の歌った流行歌に「盗まれたウェディング・ベル」というのがあったと書いてあるが、わたしは知らなかった。ちょっとジャズっぽい彼女の歌はわたしは好きでした。顔をクシャッとさせたときに鼻と両目のあいだに出来る皺がなんともいえず新鮮だった。(^_^) そういえば、美空ひばり、雪村いずみと組んだ「じゃんけん娘」という映画は子供のころに観た覚えがある。だんだん本と関係なくなるのでこの辺で(^_^;)(2005年1月初頭読了) 

Posted: 2005年02月16日 (水) at 22:06 




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