五千回の生死 / 宮本 輝著(新潮文庫) 


この本は9編から成る短編集。これにカバーをつけるとしたらどんなものになるのかな、と想像するのは楽しいのだが、正直な話、カバーの無いのが少し残念。 

9編すべてに共通しているのはある種の暗さだった。キラリと光る表現とか、文章の巧みさというのはあまり感じられなかったが、スッとわたしを引き込んで最後まで一気に読ませてしまったのは著者のストーリー・テラーとしての力量か。中では表題作の「五千回の生死」がやはり一番面白かった。最後の落ちが見事でフッと気持が軽やかになった。
(2005年2月13日読了) 

Posted: 2005年02月18日 (金) at 20:41 




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