誰も見なかった中国/ 落合信彦著(小学館) 


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著者の後書きが1997年9月となっているからこの本に書かれている中国旅行は1996年頃のことだと思う。この著者の本を読むのはこの本が始めてかもしれない。 

著者が中国政府から許可を貰って1996年頃に中国の貴州省と雲南省を訪れた紀行文である。この両州は中国の中でも少数民族が集中している州、そして、もっとも貧困度が高い州であるらしい。落合氏の分の中でも、その貧しさと道路の恐るべき不備などが繰りかえし描かれていて、殆ど想像を絶するほど。

この本がかなり強いインパクトを読むものに与えるのは、同時に掲載されている数多くの写真だろう。まさしく「百聞は一見にしかず」で、文章だけでは表現できないものをみごとに伝えている。それにしてもここに描かれている貧しさというのは尋常ではない。この本が書かれてから間もなく10年近くの歳月がたつけれど、少しでも改善されているのだろうか。たったひとつの救いは写真に写っている子供たちの表情だ。明るい希望に満ちた目がどこか懐かしさを感じさせる。(2005年1月23日読了) 

Posted: 2005年02月16日 (水) at 23:16 




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