気になったこと

先日(2013年6月7日)、末娘の統計学・マスター号授与式に参列した。そこで壇上に呼び出されたアジア系の学生は中国人と韓国人だけで日本人学生は1人もいなかった。その時わたしはひたひたと水が足もとに押し寄せてくるような危機感を感じた。

日本の大学がドイツの大学より優れているのかどうかはこの際問題ではない。ドイツ人だけではなく近隣の国から若い人たちが集まって学んでいるという環境に日本人がいないということに、数年後の日本の方向性を心配してしまうのだ。

外国から母国日本を見るという体験、そして多くのヨーロッパ人学生の中に混じってヨーロッパの空気感を感じ取るということが若い人たちにはかなり重要なことだと思うのだ。これだけは頭の中で考えても身につかない。

ドイツに住んでいてもインターネットのおかげで日本のニュースは昔とは比べものにならないくらいに入ってくるようになった。わたしがそれを見たり聞いたりしていて気になるのは、日本在住の人の殆どの視線が USA に向いているように感じることである。

ヨーロッパに来て生活してみればすぐにわかるが、ヨーロッパ人にとって USA は数ある外国のひとつでしかない。日本の若者たちがヨーロッパでさまざまな国の学生達の中で数年間生活し学業を修めて帰国したとする。数年後にその中の何人かが日本で指導的立場に立ったとき、さまざまな国の指導者と同じプラットホームに立ち、多角的な視点でものを考え、判断することが出来るのではないかと思うのだ。

母国・日本がが将来、中国、韓国などの近隣諸国と対等に、柔軟に、そしてしたたかにつきあえますようにと願っている。

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