その話を聞いてわたしもその男の子ぐらいの年齢の時に似たような経験をしたことを思いだした。
1度定年になった父がそのあとの職場として通っていたのは隣町だった。あるときその会社の運動会があって珍しく父が10歳ぐらいのわたしを連れていってくれた。あとから考えるとわたしの同伴はどうも母の命令だったようだ。
しかし運動会が終わっていざ帰ろうとしたら父が「俺はちょっと用事があるからお前1人で帰れるな?」と言う。気の弱いわたしはあいまいな返事をして父と別れたが、本当は自分がどこに居るのかもわからなかった。
どうにかこうにかわたしは家にたどり着いたのだったがその途中の経過は全く記憶に無い。ただもの凄く心細かったのをいまでも思い出す。
今思うに父は職場の仲間と飲む約束をしてしまい、子供のわたしが邪魔になったのに違いない。父のその時の気持ちも今のわたしには良くわかるのである。そしてきっとその晩は母にこっぴどく叱られたと思う。(笑)