2022年2月18日(金)
「ミカエルの鼓動」(柚月 裕子 著) を読了した。
この作家の本はこれまでにもけっこうな数を読んでいて期待を裏切られたことがない。今回もそれは変わらなかった。
心臓外科手術における治療ロボット・ミカエル を中心においてそれに携わる心臓外科医の心情と葛藤、そして病院経営者の思惑が絡まって物語が展開していく。
いつもながらの緻密な取材を感じさせる重厚な物語の展開に読んでいて満足感がある。これぞプロフェッショナル。
余談だがこの本のなかに出てくるミュンヘンの
「ミュンヘン ハートメディカルセンターといえば、世界的にも知られている心臓手術の専門病院だ」
というのは多分 Deutschen Herzzentrum München – DHMがモデルだと思う。
私の妻 ブリギッテは1996年に心筋梗塞で倒れたあと、定期的にここを訪れて検査して貰っている。
その他にもミュンヘンに関する記述があるので引用しておく。黒沢というジャーナリストが主人公の西條医師にこう言っている。
なにより感動したのはビールだよ、白ビール。先生、飲んだことあるかい。俺はこのためだけに、またミュンヘンに来るよ。味が澄んでいて軽いが、酵母がしっかり生きているんだ。
これは毎晩のように「黄昏ビール」と呼んで晩酌を楽しんでいるわたしが好きな Weißbier のことである。日本から来た友人、知人は気に入ってくれる。わたしの印象では女性に好まれる味らしい。軽いからかもしれない。