先頃、Nationaltheaterで新演出の幕を開けた “BORIS GODUNOW” を観てきた。平土間の第1列ど真ん中の席で50cmくらい前で指揮者が棒を振っていた。(^_^) わたしはこのオペラを二つの異なる演出で体験しているからどうしてもそれらと比較してしまう。「昔は良かった」とは言わないけれど、時代と共に演出も演奏も歌手の演奏スタイルさえも変化していくということは仕方のない事実だ。
ソリスト陣はみな健闘していてまったく穴がない。この辺はさすがにミュンヘンのレベルを保っていた。その中でもやはりタイトルロールは一級品の声を聞かせてくれた。美しいバスでこれからが楽しみな人だ。
コーラスはもう少し厚みがあっても良いと思ったが,昔の同僚に聞いたところでは現在風邪で20人近くが休んでいるとか。それでは仕方がない。
物足りなかったのはオーケストラの響き。もう少し粗野で荒削りなロシアらしい響きがあったら良かったのに。これは指揮者であるケント・ナガノ氏の主張なのだろう。
Besetzung
Musikalische Leitung: Kent Nagano
Inszenierung: Calixto Bieito
Bühne: Rebecca Ringst
Kostüme: Ingo Krügler
Licht: Michael Bauer
Dramaturgie: Andrea Schönhofer
Chöre: Sören EckhoffBoris Godunow: Alexander Tsymbalyuk
Fjodor: Yulia Sokolik
Xenia: Eri Nakamura
Xenias Amme: Heike Grötzinger
Fürst Schuiskij: Gerhard Siegel
Andrej Schtschelkalow: Markus Eiche
Pimen: Anatoli Kotscherga
Grigorij Otrepjew: Sergey Skorokhodov
Warlaam: Vladimir Matorin
Missail: Ulrich Reß
Schenkwirtin: Okka von der Damerau
Gottesnarr: Kevin Conners
Nikititsch: Goran Jurić
Leibbojar: Dean Power
Mitjucha: Tareq Nazmi
Hauptmann der Streifenwache: Christian RiegerBayerisches Staatsorchester
Chor der Bayerischen Staatsoper
マリーナは登場しないところを見るとポーランドの幕がない初版による上演ですね。
初版の方が凝縮度が高くて優れているという意見も多いですね。
だったら尚更ロシアっぽい豪快な響きが欲しかったところですね。
はい、原典版での上演でした。そして休憩なし。
舞台の上ではかなり凶暴な風が吹き荒れているオペラなのに音楽がそれを打ち消しているという,なんとも消化不良の一夜でした。
休憩無しというのは音楽・演出だけではない「オペラという世界」を楽しみにして来場している人たちには物足りないと思います。せっかくの日常からの離脱も中途半端に終わってしまうのでは。Käfer も商売が出来なくて不満足でしょう。(笑)