2019年3月19日(火)
プッチーニ作曲のこのオペラを観るのは始めて。今夜は新演出の2回目の公演。
このオペラはヨーロッパの劇場では余り上演される機会がない。題材がアメリカ・カリフォルニアを舞台としていることはそれほどの意味は持たないだろう。多分、女声が2人しか登場しないということもあるのかなぁ、と思ったり。それと典型的なアリアがソリストに与えられていないからかもしれない。
それはともかく、今夜の公演は高水準のソリスト陣が楽しませてくれた。特筆すべきはやはりミニーを歌ったソプラノの アニヤ・カンペ だった。プッチーニの厚いオーケストラの響きを突き抜けてクッキリ聞こえてくる声の強さもさることながら破綻のない声のフォルムと演技力がわたしをオペラの世界に没入させてくれた。
Jack Rance を歌った John Lundgren も素晴らしい響きのバリトン。彼が歌うもっと他の役も聴いてみたくなる。
Dick Johnson 役のテノール Brandon Jovanovich も立派な声で不満はないのだが高音にブッフォらしい色を感じたのがわたしとしてはもう一つだった。
第三幕で彼が歌う “Ch’ella mi creda libero e lontano” という短いアリアを聴いた時には自分の学生時代を思い出した。このアリアはとても短いものなのだが、最後に高音の「B」音が出て来る。それで、わたしの学生時代はこのアリアを歌って「わたしは高音の “B” もちゃんと出ますよ」というデモンストレーションに使っていた。(笑)
演出は決して奇をてらったものではなくプッチーニの音楽に沿った、観客を戸惑わせることのないオーソドックスなもの。個人の好みではあるが、わたしはこういう演出が好き。とても楽しい夕べだった。