今日は新演出・初演の2回目の公演。
このオペラ、いろいろな思い出があるが、今夕は Kirill Petrenko の指揮ということで期待して出掛けた。
今日のいちばんの収穫は自分に関してのこと。オペラの幕が開いてからしばらくは演出、歌手の演技、舞台装置に関してネガティヴな感慨が次から次へとわき起こってくる。しかし休憩時に隣で聴いていた77歳の旧同僚が素直に楽しんでいるのを聞いて反省した。
わたしは自分が現役で歌っていた頃の舞台・歌手と比較して現在を否定していたのだ。時が移ればすべては変わるもの。それを素直に受け入れていかなくては。それができないわたしは絵に描いたような「がんこ爺」になるしかない。
それでも、ひとつだけ書いておきたいことがある。それはエドガルドを歌ったブレスリクについて。彼はこの役を破綻なくうまくこなしてはいたが、この役が要求するイメージには適合していない。スリルが無いのだ。観客をハラハラさせる緊張感と期待感に乏しい。
彼が素晴らしいモーツァルト・テノールであることは確かではあっても「愛の妙薬」のネモリーノでとどまるべきだと思う。
Diana Damrau に関しては最高音はともかく中音域が少し荒れているような感じがした。歌い過ぎなのかもしれないし、わたしの座っていた席のせいかもしれない。
ペトレンコの指揮は「可も無く不可も無し」という感じを受けた。まあ、ドニゼッティだからそんなものなのかもしれない。
Musikalische Leitung:Kirill Petrenko
Inszenierung:Barbara Wysocka
Bühne:Barbara Hanicka
Kostüme:Julia Kornacka
Licht:Rainer Casper
Produktionsdramaturgie:Daniel Menne, Malte Krasting Chor:Stellario Fagone
Video:Andergrand Media + Spektakle
Lord Enrico Ashton:Dalibor Jenis
Lucia Ashton:Diana Damrau
Sir Edgardo di Ravenswood:Pavol Breslik
Lord Arturo Bucklaw:Emanuele D’Aguanno
Raimondo Bidebent:Georg Zeppenfeld
Alisa:Rachael Wilson
Normanno:Dean Power
Bayerisches Staatsorchester
Chor der Bayerischen Staatsoper