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2007年01月07日

後鳥羽伝説殺人事件 / 内田康夫著(角川文庫) 

後鳥羽伝説殺人事件 / 内田康夫著(角川文庫) 

image またまた、浅見光彦シリーズである。解説によるとこれはデビュー作の「死者の木霊」、第二長編の「本因坊殺人事件」に続く内田康夫氏の第三長編になるらしい。ちなみに上記の二作も私はまだ未読である。是非とも読んでみたいと思った、というのはこの「後鳥羽伝説殺人事件 」が素晴らしかったから。

この本は昭和57年の刊行ということで、かなり古いものだと思うのだがちっともそうは感じさせない。後鳥羽上皇が流されたその道筋を辿っての殺人事件が連続して展開するのだが、途中からぐいぐいと引き込まれていく。浅見光彦に事故で(殺人と言えるかも知れない)死んだ妹が存在したこともこの本で知ることになる。

この作者の本骨頂はやはり人物を描く技量の素晴らしさだろう。登場人物がそれぞれに活き活きとしていて楽しくなる。残すところ50頁というあたりになってようやく、私には犯人像が浮かんできたがそれまではまったく霧のなかだった。読むものをここまで引っ張ってくる作家の力量もすごいし、最後の謎解きでの胸躍るような昂奮を味わせてくれるサービス精神にも感服。浅見光彦ファンには必読の本。(笑)
(2007年1月6日読了)