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2007年02月23日

眠たい奴ら / 大沢在昌著(実業之日本社)

image インテリやくざといわれる主人公が組から干されかけて旅に出る。その旅先で出会った絶世の美女に惹かれて、ある事件に首を突っ込んだことから物語は展開していく。かなり分厚い新書版だけれど、面白くて一気に読んでしまった。この主人公、ちょっと007のジェームス・ボンドに似たスーパーマンぶりで現実味はないけれどとにかく面白い。(笑)

これも前出の本と同じであるオフ会の席で戴いてきたもの。この作家のものは過去に「新宿鮫」シリーズを数冊読んでいて、当たりはずれにないエンターティンメント作家だという位置づけが私の中にある。

主人公のスーパーマンぶりの非現実感を打ち消して、この本全体のバランスを取っているのが、大阪の刑事役で登場してくるもう1人の主人公・月岡である。彼の描き方がわたしにはとても面白かった。飄々としていて憎めないが、主人公以上に頭の切れる人物で、この人物を主人公にした小説があってもいいような気がする。

ある小さな温泉町で起こった新興宗教が絡んだ事件をこの2人が奇妙な二人三脚ぶりで解決するという筋だが、それ以上は書かないで置く。通勤中に電車の中で読む本としてはお薦めである。(^_^)
(2007年2月中旬読了)