« Billy Budd の練習 | Main | 眠たい奴ら / 大沢在昌著(実業之日本社) »

2007年02月23日

風の呪殺陣 / 隆 慶一郎(徳間文庫)

image 時はちょうど織田信長が天下布武に向かうとき。比叡山で修行を続ける若い僧が、彼の修行道の満願の日、信長がおこなった比叡山焼き討ちに出会う。天をも恐れぬ信長の所業に怒ったこの修行僧が彼をのろい殺すため、呪殺行に入る。

この人の書く時代小説は、わたしだけの考えかも知れないけれど、どこかで読者を突き放したところが感じられて好きな作家。時代考証なども綿密である。もう亡くなってしまったようだけれど、ちょっと残念な時代作家を失った。

内容はこの修行僧を縦糸に、そして横糸には天衣無縫な明るい性格を持った山門公人衆・谷ノ坊知一郎を絡ませて物語は進んでいく。この作家の作品の常として必ず出てくるエロチックな場面は今回も健在で、これは読者サービスかな。(笑)

この本もあるオフ会の時に「どなたでも持って帰ってください」という形で床に置かれていたものを貰ってきた。有り難いことである。(^_^) 
2007年2月初旬読了)