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2007年12月13日

Dの複合 / 松本清張著(光文社・カッパ・ノベルス)

image 先回に続いて松本清張の推理小説。これも数十年前に読んだことを憶えている。しかし粗筋などはスッパリと忘れていた。だからまったく新鮮な気持ちで読み進めることが出来た。左の写真は現在でている新潮社文庫のものだから、もちろん光文社のものとは違うはず。本というのはカバーも外さずにとっておくべきだという気がする。

これは長編推理小説であるが快適なテンポで物語が進んでいくので、わたしの好きなワクワク感が感じられた。後ろに「Dの複合」は、<カッパ・マガジン>「宝石」(光文社)に昭和40年10月号から、昭和43年3月号まで、連載されたものです。 と記されている。わたしは Kappa Novels となった時点で読んでいるから昭和43年7月以後に読んでいることになる。21歳の頃だ。(笑)

主人公は浜中という小雑誌社の編集員、そして小説家の伊瀬。推理小説によくある二人三脚の形をとっているが、どちらが主人公とは決めつけられないものがある。東経135度、北緯35度の線上にある場所で事件が展開していくわけで、初めは古い推理小説にありがちが荒唐無稽なこじつけかなと思っていた。

しかし最後の大詰めまで来るとそれがこじつけなどではなく、説得力のある現実味を帯びた展開となってくる。このあたりまで来ると昔、夢中で読んだ時のときめき感を思いだした。松本清張、やはり大変な作家であった。(^_^)
(2007年12月11日読了)