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2008年04月03日

悪夢

今朝は悪夢にうなされて目が覚めた。目が覚める直前に見た夢だからはっきりと覚えている。こういう夢はもう10年以上も見ていないのだが、どうして今頃なんだろう。

夢の中でわたしは Nationaltheater の舞台の袖に立っていた。うしろから誰かが「さあ、出番だ」と背中を押している。客席にはびっしりの観客。

舞台の上で進行しているオペラは「エフゲニー・オネーギン」。わたしはもちろんテノールのレンスキー役である。この役をわたしは25年ほど前にドイツ語で歌っているが、ロシア語では歌ったことがない。「駄目だ、俺には歌えないよ」と必死に抵抗するが「大丈夫、大丈夫、舞台に出て行けば何とかなるから」と背中を押す力がだんだんと強くなってくる。こらえきれずに1歩舞台に足を踏み出したところで目が覚めた。ふぅ〜!

舞台俳優もそうだろうが、歌手にとって一番恐ろしいのは歌詞が突然出てこなくなること。オペラの場合には歌詞を忘れると、オーケストラはその間もどんどん先へ進んでいる。そうなるとパニックがパニックを呼び、頭の中は真っ白である。これは怖い。

これはなにも歌手が若いからとか未熟だから起きるとは限らない。わたしは自分の目の前であのピエロ・カップッチッリの上に起ったことを今でも思い出すことができる。アレッ?と思ったらオーケストラと彼の歌がズレ始めた。必死になって彼が持ち直そうとするのだがオーケストラは待ってはくれない。そこへプロンプターがかなり大きな声で助けを出したのだが、それが混乱に輪をかけてしまった。最後はもうメチャクチャ。

幸いなことに合唱団に入ってからはこの恐怖から解放された。それなのに、どうしてこんな夢を見たのか。かすかに思い当たるのは明け方に少々喘息気味だったこと。たぶん呼吸困難がこんな悪夢を見させたのだろう。