久しぶりに司馬遼太郎の本。ここしばらくは彼の文体についていけない(ちょっと鼻につく)ところがあって意識して遠ざかっていたのだが、テーマが「北条早雲」という事で読んでみる気になった。
実は今日まで北条早雲 - Wikipediaという人物に関しては殆ど知らなかった。それが読んでみようというきっかけである。そしていつもながら、いったん読み始めてしまえば文庫本3冊にわたる大作を一気に読み通してしまった。
上巻読了(2008年7月24日)
中巻読了(2008年7月27日)
下巻読了(2008年7月28日)。
しかし、もうすっかり慣れている筈なのに司馬遼太郎氏の物語にはたびたび肩すかしを食らったような気になる。例えば上巻の後ろの方で北条早雲若かりし頃の伊勢新九郎と千萱(ちがや)の間に緊張した空気が盛り上がる部分がある。のめり込むようにそれを追っていくとページが変わり、突然「8年の歳月が過ぎた」という短い文章。(278ページ)読む方としては一瞬ポカンとしてしまう。一枚の紙の表と裏の間に8年の歳月があるなんて!しばし紙の薄さを見つめてしまった。(笑)
とは言いながら最後まで一気に読ませてしまうところにこの作家の本骨頂がある。北条早雲という人物の事がおぼろげながらわかったというだけでも、読んでいて楽しかった。