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2008年11月07日

天国への階段(上・中・下)/ 白川 道著(幻冬舎文庫)

image image image Japan Club からお借りしてきた。初めて出会う著者であったが,『上・中・下』とまとまっていたので読んでみる気になった。日本にいるわけではないので上巻を読んでその後が無いときなどとても悲しくなる。そういう時にはいくら面白そうでも手にとらないことにしている。今回は3冊という長編であるという理由だけではなく,読み始めてから読了するまでの時間がとても長く感じて仕方が無かった。

読み初めて見るとなんだか違和感を感じて仕方が無かった。話の展開がゴツゴツとしていてちっとも滑らかでない。車に乗っていてノッキングを感じるのに似ていて、だんだん読み通す気力が薄れていくのに自分でも気がついていた。それでも最後まで読み通したのは、三巻揃って目の前にあるという贅沢な事実と,途中から湧いてきた『最後まで読んでやる!』と言う,作家に対する挑戦の気持ちだった。

こんな私の気持ちを代弁してくれていたのは三巻目の最後に解説を寄せていた北方謙三氏の次の言葉だった。

これほど愚直に読者のボディを打ち続け,これほど強く心に振動を与え,これほど太く小説として存在する作品を書きおおせた白川道は,これからどこへ行くのだろうか。

全てを読み終わった時,たしかにボディブローをくい続けたボクサーはこんな気持ちになるのだろうと思った。最後の最後ではわたしも読みながら涙がこぼれて仕方なかったけれど,決して気持ちのよい敗北ではなかった。泥の中に顔を押し付けられて『どうだ,どうだ、参ったか』と言われているような......。

(2008年11月6日読了)