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2006年09月26日

【篠の風】Privat のおまけ

先日 Roland から出ているデジタル録音機 R-09 を購入して、まるで小さな子供がオモチャを買って貰ったときのように喜んでいじりまくっている。(汗) これもその実験の一部なのだが、録画してあったビデオテープから Line 入力で録音してみた。

音源というのはこれまた古いのだが、1980年1月11日のもの。なんと26年も前のものだ。この日わたしはハノーヴァー(Hanover) の北ドイツ放送局で収録された "Annelise Rothenberger stellt vor" (アンネリーゼ・ローテンブルガーが紹介します)というテレビ番組に出演した。

Annelise Rothenberger というのは知る人ぞ知る一世を風靡したオペラ歌手(ソプラノ)である。この女性が功成り名を遂げて舞台を退いてから、若い才能のありそうな音楽家を紹介する、というテレビ番組を始めた。歌だけでなくクラシック音楽全般にわたっての話である。この番組は一年に一回ぐらいの頻度で作られていて、それは EuroVision といって、ヨーロッパのドイツ語圏諸国に一斉に放送されていたのだった。(この放送は1980年4月7日)従って出演者はドイツ国内にかかわらず世界中から集められた若い人達である。

もちろん、オーディションがあったわけだけれどその頃のわたしはまだドイツに来て2年半ぐらいだったから西も東もわからずただひたすら夢中だった。そんなわけだったから出演の話がきても「ああ、そうですか」ぐらいにしか思わなかったが、いざハノーヴァーのテレビ局に行ってみるとそれが大変なものであることが段々わかってきた。一緒に出演する人達の緊張がヒシヒシとこちらに伝わってくるのである。これは大変な所にきてしまったみたいだ、とそこでようやく気がついた。(汗)

リハーサルは簡単なものが一度あったきりで、次の日が本番。会場の規模は違うけれど NHKホールをグッと縮小したものと想像して貰えばいいと思う。自分としてはわりとリラックスして歌えたと思うのだが、映像を見るとやはり笑顔がぎごちない。(汗) 久し振りにテレビの画面に映してみた自分は、歌の方はともかくこれでもかというくらい豊富な黒髪を頭に乗っけた丸ポチャの顔で、映像というのは時間の推移を厳しくも教えてくれる。

その時に歌ったのは「ウィンザーの陽気な女房たち」(オットー・ニコライ作曲)というオペラからフェントン(二枚目のテノール)の歌う「きけ、森でヒバリが歌うのを」という甘美なアリアだった。今となっては懐かしいが Annelise Rothenberger がわたしを紹介してくれたアナウンスと、その時に歌ったものをアップします。

紹介アナウンス
アナウンスの内容は、現在 München のオペラ劇場で研鑽を積んでいるテノールで、この番組では初めて登場する日本人。そして彼は化学を勉強してから歌に転向し東京芸術大学を優秀な成績で卒業した(ウソ)みたいなことです。

きけ、森でヒバリが歌うのを
このオペラは数年後に北ドイツの小さな街のオペラ劇場で歌いましたが、ホント、色男の得な役です。(笑)