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2006年10月18日

外務大臣は国益を最優先すべし

夕方8時少し前に帰宅したので、ニュース番組 "Tagesshau" を見ることが出来たのだが、なんだかザラザラした不安感が残った。

ニュースの中程で日本からのニュースが流れた。オヤッと思って見ると、どうやら北朝鮮の原爆実験に関するニュースである。アメリカの女性外務大臣ライス氏が東京を訪れていて、日本政府と会談をしたあとの共同声明発表だった。

今回はその声明の内容については触れないでおく。わたしに違和感を感じさせたのは、日本の外務大臣である麻生氏の共同発表の場における態度だった。映像は2人が発表の場に入ってくるところから写していたが、麻生外務大臣がライス氏に対していかにも投げやりなジェスチャーで「あんたの立つ位置はそっちだよ」みたいな感じに写った。それを見てわたしは「ン?」と思った。

ニュースでは放送時間の関係か2人の発表は簡単に切り上げて、退場の場面を写していたが、驚いたことに麻生氏はライス氏に一瞥も与えず彼女の前になってサッサと退場。これにはちょっと驚いた。仮にもライス氏は日本政府を訪れたお客であって、まず彼女に道をあけるのが礼儀であろう。失礼である。

この映像からは、二人の会談が麻生氏にとって(日本側にとって)満足のいくものでなかったのかなと想像できるが、それには触れないでおく。ただ、今回の公の場における彼の態度は日本国にとってマイナスでしかあり得ない。一国の外務大臣がまるで駄々っ子の子供のようにわたしには見えた。

ドイツのテレビを見ているとヨーロッパという土地柄、政治家の往来の頻繁さは日本での比ではない。つい最近のロシア大統領のプーチン氏の訪問しかりである。そこでは会談の内容がどんなものであっても、賓客を迎えるドイツの政治家たちは表面上は実ににこやかで儀礼に則った礼節ある態度をとる。マスコミの目に晒される場面ではなおさらであって、これは外交の基本中の基本であるとわたしは思う。

今回の麻生氏の態度はそれとは正反対のものとしてわたしの目に写った。ましてやライス氏は女性である。普段よりもオーバーなくらいの演技があったとしてもそれを見る人は当然のこととして受け入れるだろう。ましてや欧米人の目には、それでちょうど良いくらいに写るものである。彼が個人的に女性に親切にするのを潔しとしない人であったとしても、日本の外交をになう外務大臣の態度としてはあれではいけない。大いに失望した。大げさにいえば、あれは日本の国益を損なう態度ではないか。あれで日本が得するものは何もない。