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昨夜は今シーズンの皮切りである Das Gehege / Salome のゲネラルプローベを観てきた。力の入ったプロダクションで、大変楽しめた。
昨日の配役などを書いておく。
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Das Gehege
Musik: Wolfgang Rihm
Libretto: Botho Strauß aus "Schlusschor"
Auftragswerk der Bayerischen Staats
Die Frau: Gabriele Schnaut
Engel des Todes: Todd Ford
Musikalische Leitung: Kent Nagano
Inszenierung: William Friedkin
Bühne: Hans Schavernoch
Kostüme: Petra Reinhardt
Licht: Mark Jonathan
Choreographie: David Bridel
Dramaturgie: Peter Heilker
Das Bayerische Staatsorchester
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休憩前の Das Gehege(動物の囲い場)は鷲の衣装をつけたバレエダンサーとソプラノの二人だけ。ソプラノが1人で延々と歌う。正直言ってその意図がよくわからなかったけれどテーマは死ということなんだと思う。休憩後の Salome の前口上のような役を果たしている。昨夜はGabriele Schnaut が歌ったのだが、ご存じのように強靱な声で氷の刃のような雰囲気を支配していた。彼女ならではの役だろう。 最近はこういう無調の音楽に慣れているせいかそれほどの違和感もなかった。
休憩後は Salome である。。休憩前の舞台が黒を基調とした暗い舞台だったので、幕が開いた途端にその色彩感にホッとした。どういう仕掛けになっているのかはわからないがとにかく舞台転換がスムーズでダイナミックなので観ていて飽きない。それを背景にしてサロメが歌い演じるのだが、昨夜のAngela Denoke は素晴らしかった。このオペラは予言者の Jochanaan 、Herodes、Herodias、Narraboth、など、聴き所の多い大事な役も多いのだが、昨夜は Angela Denoke の独壇場だった。オペラ歌手にしては珍しくすらりとした肢体で、バレエダンサーを思わせる軽快な動きで, 観るものを飽きさせない。そちらのほうに気をとられていて恥ずかしながら彼女の歌唱はそれほど印象に残らなかった。(汗) Schnaut のような強靱な声とは異なるがそれでも厚いオーケストラを突き破ってくるだけの力強さはある。
かの有名な「七つのベールの踊り」がどういう演出になるのか大きな興味を持っていたが(なんというミーハー)(汗)、実にうまい解決法で(まだ Premiere が終わっていないのであえて書かない)感心してしまった。そして最後には彼女が着ていた、単純でいて扇情的なドレスを片方ずつ肩から抜いて上半身が露わになる。照明の技術もあるのだろうが彼女の胸は非常に美しかった。現在この役を歌えるソプラノでこの演出を受け入れることの出来るソプラノ歌手が何人いるだろうか、と考えたらちょっと笑いがこみ上げてきた。(汗)Jochanaan を歌った Alan Titus のビロードの手触りを感じさせる美しいバリトンも出色だったし、Herodes 役の Wolfgang Schmidt のキャラクター溢れる明晰なディクションも印象に残った。Narraboth にはもう少し叙情的なテノールを想像していたのでこの役の Nikolai Schukof の強い声にはちょっと肩すかしを食らったけれど、あれも悪くはない。
その他の配役も芸達者なベテランたちを配して、しっかりと脇を固めていた。ここまで隙のない配役を持ってこれるのはミュンヘンならではのことだろう。リヒャルト・シュトラウスの音楽が好きで Angela Denoke のファンならば多少の犠牲を払っても観るべし。(笑)