« 鬼首殺人事件 / 内田康夫著(光文社文庫) | Main | 暖かい週末の始まり »

2007年01月13日

歌枕殺人事件 / 内田康夫著(双葉社)

image 先に読んだ「鬼首殺人事件」が少し期待はずれだったが、今回のは「当たり!」だった。というのも推理の面白さとかマドンナ役の表現が素敵な事はさておいて、この本の舞台にはなんと、わたしの故郷が登場してきたのである。病院での待ち時間をこんなに楽しめた事はかつてない。(笑)

題名のように「歌枕」を巡っての旅情ミステリーなのだが、「末の松山」という歌枕を辿っていって、我が町「いわき市」が飛び出してきた。(笑) 後半はそのいわき市がテーマになっているのだが、次々に出てくる地名を読んでいるうちに様々なことが思い出されて胸が痛くなる場面も数々。故郷の宣伝に、いわき市について書かれている部分を引用しておく。(汗) (129−130頁)

いわき市は日本最大の面積をもつ「市」である。なにしろ、昭和四十一年の市町村合併によって、「平」「磐城」「勿来」「常磐」「内郷」の五市と「四倉」「遠野」「小川」「久ノ浜」の四町、それに「好間」「三和」「田人」「川前」「「大久」の五カ村が一度に合併してしまったという、珍しいケースなのだ。
 広いだけに市域には無数といっていいほどの名所旧跡や観光地が分散している。前述の「勿来の関」をはじめ、「常磐ハワイアンセンター」もここにある。天気予報でおなじみの「小名浜」もここの港だ。美空ひばりの絶唱に唱われた「塩屋崎」など、磐城海岸自然公園は、銚子以北、松島以南の太平洋岸としてはもっとも風光明媚の地である。

一つ白状しなくてはならないのは紀貫之がよんだという次の歌は知らなかった。良い勉強になりました。(汗)

惜しめどもたちもとまらずゆく春を
勿来の関のせきもとめなむ

ということで、三十一文字の歌が好きな人は一度この本を読んで見ることをおすすめします。そして、良さそうだなと思ったら一度わが故郷を訪れてください。(笑)
(2007年1月12日読了)