« 自動車ガソリンの値段(2007年2月7日) | Main | 3回目の病院通い。(採血) »

2007年02月07日

太閤暗殺 / 岡田秀文著(光文社)

image 先の「占星術殺人事件」「水晶のピラミッド」と一緒にある人から譲り受けた本。単行本である。(^_^) 前にも書いたことがあるがなんらかの賞を貰った作品というのは、当たり外れの振幅が小さいということは確かである。この本は2001年の「日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作」ということで期待して読み始めた。作者の名前は初めてお目に掛かる。

標題の通り、内容は太閤秀吉の暗殺を狙う「石川五右衛門」を描いた物語。これまで多くの戦国物を読んできたが考えてみると「石川五右衛門」に書かれた本を読んだことがないのに気がついた。「石川五右衛門」に関して知っていることといえば、大泥棒で秀吉に捕まり釜ゆでにされたとか、誕生日が1月1日だとか(本当かな)、南大門の上から「絶景かな〜」とやったとか(これは歌舞伎の話か)ぐらいのまことに貧弱で断片的なことでしかなかった。

大変面白く読んだ。読み終わってみるとひと捻りもふた捻りもしてあり、密室を解く推理部分も読ませるし、登場人物の心理の襞にも鋭い踏み込みがあったりして、単なる時代推理小説に留まらない。この作者の現代物も一度読んでみたくなった。土壇場近くの、躍動感溢れる文章と物語の決着の付け方も秀逸である。
(2007年2月6日読了)