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2007年04月12日

約束の街1・2 / 北方謙三著(角川文庫)

約束の街1・2 / 北方謙三著(角川文庫)

image image この二冊の文庫本は例によって Y.Suzuki さんの本箱から借りてきたもの。[約束の街・1]の方には「遠く空は晴れても」、そして[約束の街・2]には「たとえ朝が来ても」という題が付いている。

この二冊に一貫しているのは主要な登場人物とその舞台(それが[約束の街]なのだろう)が共通していること。そこへそれぞれ1人の余所者が入ってきて物語が展開していく。「遠く空は晴れても」では川辺、「例え朝が来ても」では波崎、そして最後には何人かが死ぬ。第二巻が終わったところで主な登場人物はまだ生かしてあるから、きっとシリーズとしてこのあとも続いていくのだろう。

この著者の本領を発揮して、二冊とも全編にわたりハードボイルド調を貫いている。登場人物達の小気味の良い台詞回しが、臭くなる一歩手前で留まっているところが北方謙三氏の真骨頂か。わたしにとっては、粗筋などはどうでも良いことであって、ただひたすら会話の面白さを楽しんでいた。

自分にはどう逆立ちしても出てきそうにない台詞だけれど、こんな台詞をよどみなく、そしてさりげなく人前で口にしてみたいものだという、大いなる願望を募らせているうちに、いつの間に最後のページになっていた。(笑) 読み終わったあとは007(ジェームス・ボンドシリーズ)を観て映画館を出たときのような、現実とのギャップとそして爽快感があった。
(2007年4月9日読了)