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2008年06月16日

エフゲニー・キーシンと"Kremerata Baltica" の演奏会

うっかり忘れるところだったが、今夜は久しぶりにピアニスト、エフゲニー・キーシンの演奏会を聴いてきた。

実は休暇疲れ(汗)と、夕方からテレビ放送される予定のサッカー、ヨーロッパ選手権の試合に気をとられて、今夜の演奏会の切符をいただいていたのをすっかり忘れていた。最初は、気が進まなかったのだが、聴いてきて良かった。(^_^)

image 左が今夜のプログラムである。前後を Mozart のポピュラーな協奏曲で固め、真ん中に、オーケストラの作品を並べた面白いプログラム。指揮者は無しである。エフゲニー・キーシンに関しては述べるところがほとんど無い。相変わらずの美しい、粒のそろった音で、2つの協奏曲ともに二楽章のゆっくりしたテンポの曲が心にしみ込んでくる。このピアニストの本領はバリバリと弾きまくるのではなく、音楽の深みに向かって沈潜していくところにあるのではないかと、今回も感じた。現在ではバリバリと達者に指の動くピアニストは沢山いるのだから。フッと子供時代の幸せな思い出に連れて行ってくれるような、目頭が熱くなる瞬間もあった。

今夜の歓びはしかし "Kremerata Baltica" という小オーケストラを初めて聴けたこと。プログラムの解説によると1997 年にギドン・クレーマーが設立したオーケストラということで、全員がまだ30歳以前だろうと思われる若々しさ。バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)出身の若い演奏家を主体としたものらしい。男女の比はざっと見回して半々というところ。使い古された言い回しだが「若さがほとばしる」という表現がピッタリ。

テクニックも個人個人が素晴らしく弦のアインザッツなどは見事なほど。何より彼たちの表情が音楽をする真剣さと歓びに溢れている。休憩前に演奏されたベンジャミン・ブリテンの曲はその中でも最高に面白かった。わたし自身がその中で演奏しているかのような高揚感を味わうことが出来たが、そんな経験はそうそうあるものではない。

アンコールはエフゲニー・キーシンが Mozart のトルコ行進曲、プロコフィエフの「三つのオレンジへの恋」そして最後にショパンの小曲を弾いて終わりとなった。