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2008年07月16日

余白の愛 / 小川洋子著(福武文庫)

image いつだったかの芥川賞を取ったという人で名前だけは知っていたが、作品を読んだのは今度が初めて。ちょっと不思議な空気感を持つ。

ミュンヘン・日本人会事務所の本棚からお借りしてきた。名前だけを知っていたので、読んでみようと思った。最近は若い女性作家が芥川賞をとる事が多いようで、わたしの頭の中では小川洋子という名前もその中に埋もれかけていた。

筋らしいものがない小説であるが、妙に清潔感と透明感のある文体である。そんなわけで最後まで一気に読んでしまった。読後感は薄らと積もった雪が溶けたあとの歩道に立ったような気分。

巻末の解説に、村上春樹氏にかなり影響を受けているという事が書いてあった。「なるほど」と思う。文学部大学生の卒業論文の文体が、殆ど村上春樹のそれに似てしまった時期があったという事を思い出した。
(2008年6月末日読了)