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2008年07月16日

あした来る人 / 井上 靖著(新潮文庫)

image この作品を読んだのは15歳ぐらいの時だったかも知れない。姉が買ったのだと思うのだが淡いピンクの布表紙の全集ものがわが家にあった。その中に入っていたような気がする。

今回、読み直したとは言っても筋もなにもすっかり忘れていたから、殆ど初めて読むのと同じであった。列車の中の描写に「三等車」とか「二等車」とかが出て来るのと、食事をしたあと料金の安さに「へぇ、そんなもんだったかなぁ」という感慨がわいてくるほかは、時の流れによる古さというのは感じられなかった。人間の内面はいつの時代も変わらないという事だろう。

数十年もこの作家のものは読んでいなかったので、この人の文体はもう少し硬い調子だったかのように思っていた。今回は久しぶりに読んでみてそれが間違いだったことを知る。また、この著者の本を読んでみたくなった。
(2008年7月16日読了)